【賃金】女性を理由に賃金を低くすることができるか?
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社長、上司が「あの人はすごい!」といわれるピカイチ情報
労務管理に奇策なし!大企業20年、中小企業13年 人事労務畑一筋で
現場をはいずりまわった人事労務担当者が中小企業経営者のために語る
作者: 中川清徳 2012年3月9日号 VOL.1075
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「幸運」を人に見せびらかせない(森鴎外)
(続きは編集後記で)
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【賃金】女性を理由に賃金を低くすることができるか?
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中川:こんにちは。
社長:こんにちは。
聞きにくいことですが、女性の賃金はなぜ低いのですか?
中川:結婚、子育てで会社を退社するので経験を積み重ねることが
難しいからだと思います。
子育てが終わってから再就職すると、正社員になれないことが
多く、結局低賃金で働かざるを得ないからでしょう。
確かに、統計では男性と女性では明らかに女性の賃金が低くなって
います。
社長:では、子育てをしながら働いている女性は男性並みの賃金なので
しょうか?
中川:実態は違うと思います。
子育てをしながらがんばっている女性でも賃金は男性より低いことが
よくあります。
社長:しかし、賃金制度では女性を理由に低く抑えることにはなっていません。
どうして差がつくのでしょう?
中川:職種や肩書きの差です。
仕事の内容が違えば賃金の差がついて当たり前です。
また、評価の高い従業員とそうでない従業員では差をつけて
当たり前です。
性別は無関係です。
社長:そうですね。
役職によっても差がつきますよね。
中川:いろいろな要素が重なり合って結果的に女性の賃金が低くなって
いるのでしょう。
社長:そうですか。
中川:ある会社で賃金制度で女性の賃金を低くしたことが裁判になりました。
社長:へえ、そうですか。
中川:賃金制度で、基本給は本人給と資格給に分け、本人給については、原
則として年齢に応じて支給されることになっていました。
非世帯主及び独身の世帯主の労働者(後に勤務地限定の要件を追加)には
本人給を支給しないことがあると規定され、26歳の年齢給が適用されると
されていました。
社長:別に女性とは言っていませんね。
中川:そして男性に対しては、全員「勤務地域無限定」であるとして実年齢による
本人給を支給し続け、「非世帯主及び独身の世帯主」である女性に対しては
「勤務地域限定」であるとして、26歳相当に据え置いたままにしたのです。
社長:なるほど。
非世帯主、独身世帯主と書けば女性といっているようなものですね。
中川:しかし、非世帯主、独身世帯主は男性も存在します。
それで、「勤務地限定」と「勤務地無制限」の区別を設定して
女性は勤務地限定だから本人給の上限を設け、男性は全員勤務地無制限として
本人給を上げました。
社長:で、裁判はどうなりましたか?
中川:男性は勤務地無制限といいながら実態は広域配転の割合は微々たるもので
であり、女性を理由に賃金差別をしたものであるとなり会社が敗訴しました。
社長:それは露骨すぎますね。
(中川コメント)
本日の記事は三陽物産事件(平成6年6月16日 東京地裁判決/平成7年
7月 東京高裁和解成立)を参考にしました。
女性だからというだけで賃金に格差をつけることは会社のリスクが高いです。
職種、仕事内容、評価によって格差をつけることは男女を問わすOKです。
そこを混同しないようにしましょう。
今日はここまで。では、またあした。
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編集後記
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「幸運」を人に見せびらかせない(森鴎外)
幸運というものは、やたらに人に見せびらかすものではない。
自分の幸せの話を他人に語って、喜びをともに分かち合える、などと考え
るのはとんでもない勘違いである。
「人間はもともと嫉妬深い動物なんだ」という、ネガティブな先入観から言
うのではない。人間の自然の感情は、少々複雑である。他人の幸せの姿を見
て一緒に喜んであげたいというのは、必ずしも純粋なものではなく、自然発
生的なものでもない。たいていの場合、人に後れ(おくれ)を取ったという
「苦み」を伴っている。
あなたが、自分の幸運のおこぼれを他人に分け与えようと考えるのは構わ
ないが、それは多すぎてもよくないし、また頻繁すぎてもよくない。
この分け前の分量や回数を間違えると、二人の仲は確実に断絶する。
もし何も考えずに、相手の要求するまま与え続けていると、いつしかそれ
は習慣となってしまう。これを続けたあげくに、仮に10回目の要求をあなた
が断ったりすると、相手は過去9回の贈与はすっかり忘れて、あなたに怒り
をぶつけて返してくるものなのである。
(1日「ひと粒」の黄金の知恵 森鴎外著 齋藤孝訳 イープレスト刊より)
では、また明日お会いしましょう!!
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