【継続雇用】労働条件が合わない場合は会社が妥協しなければならないのか?

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社長、上司が「あの人はすごい!」といわれるピカイチ情報

労務管理に奇策なし!大企業20年、中小企業13年 人事労務畑一筋で
現場をはいずりまわった人事労務担当者が中小企業経営者のために語る

作者: 中川清徳  2012年12月23日号   VOL.1355
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相手に本気で「話を聞いてもらう」コツ

(続きは編集後記で)

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【継続雇用】労働条件が合わない場合は会社が妥協しなければならないのか?
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中川:こんにちは。

社長:こんにちは。
   Aさんは来年6月末で定年を迎えます。

中川:はい。

社長:Aさんは、はっきり言って定年で辞めてほしいと思っています。
   しかし、平成25年4月からは法律が変わり、Aさんが希望すれば
   雇用する義務がありますね。

中川:そうですね。
   Aさんは61歳まで雇用の対象者となります。
   しかし、雇用する義務はありません。

社長:はあ???????
   もう一度話してください。

中川:法律はAさんが希望すれば61歳までは継続雇用の対象とすることを
   義務づけています。
   しかし、労働契約が成立すれば継続雇用することになります。

社長:ということは、労働契約が成立しなければ継続雇用しなくても
   よいのですか?

中川:ピンポーン!
   継続雇用の対象にはしなければなりませんが、雇用する義務は
   ないのです。

社長:具体的にはどういうことですか?

中川:60歳以降の労働条件をAさんに提示します。
   その条件でAさんが承諾すれば雇用契約が成立します。
   承諾しなければ定年退職となります。

社長:うーん。

中川:たとえば、賃金を下げる、労働時間を短縮する、労働日数を
   少なくする、配置転換、子会社への就労斡旋などの労働条件が
   考えられます。

社長:全部の条件を提示するのですか?

中川:いいえ、上記の労働条件のどれかでもよいでしょう。
   労働条件が現役より悪くなるとAさんは継続雇用を希望しない
   かも知れません。

社長:なるほど。
   なるほど、意味深ですね。

中川:6月末で定年であれば年明けの1月にAさんと再雇用について
   話し合うことですね。

社長:そんなに早くですか?

中川:定年を迎える人はその後の人生を考えているでしょう。
   最大の関心事は継続雇用してもらえるのかどうかです。
   Aさんは継続雇用を期待していると思いますよ。
   もし労働条件が合わなければAさんは定年退職することに
   なります。
   少なくとも3ヶ月前までには労働条件を提示するのが
   礼儀でしょう。

社長:6月末定年なので3ヶ月前であれば来年3月に提示すれば
   いいでしょう。
   1月に話をするのは早すぎませんか?

中川:Aさんが継続雇用を希望しているかを確認する必要があります。
   継続雇用を希望することがわかれば、Aさんの労働条件を
   会社として検討しなければなりません。
   検討には時間がかかりますよ。
   ただし、労働条件を提示したことが原因で勤労意欲が低下する
   可能性もありますので、あまり早く提示しないほうがよいでしょう。

社長:なるほど。
   では、1月にAさんに確認したとしてAさんが継続雇用を希望
   しない場合はどうなるのですか?

中川:Aさんが継続雇用を希望しないのですから、労働条件の検討は
   不要です。

社長:しかし、法律が変わって継続雇用の義務があるのでは?

中川:継続雇用の対象者としなければなりませんが、雇用する義務は
   ありません。
   雇用するかどうかは労働条件で同意が成立するかどうかで決まります。
   労働契約が不成立の場合は雇用する義務はないのです。

社長:つまり、労働条件が合わない場合でも、会社は労働条件を
   妥協する義務はないということですね。

中川:ピンポーン!

 

(中川コメント)

 平成25年4月から労働者の申し出があれば雇用の義務が生じます。
ただし、労働条件で合意がなければ雇用しなくてもよいのです。
労働条件は定年前と同じである必要はありません。
困った社員に対しては厳しい労働条件を提示することも一つの方法です。

今日はここまで。では、またあした。

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法律が改正され60歳の定年後も本人が希望すれば65歳まで雇用する義務
が生じました。
しかし、平成25年3月31日までに労使協定を
締結すれば一定の基準を満
たしていない場合は雇用する義務がありません。
緊急性があるので特別に個別セミナーを開催することにしました。

これは「セミナー」となっていますが、講師と二人きりのマンツーマン形式です。
集合形式ではありません。
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    編集後記      
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相手に本気で「話を聞いてもらう」コツ

 会話というのは、おもしろくなくてはならない。
どれほど内容が濃くて役に立つ話でも、長くてつまらなければ嫌われる。
そうかといって、笑いを取ろうと無理すれば失敗する。おもしろがって
くれたとしても、品の悪い人間と思われたりするし、またおもしろい話
のネタには限りがあるから、いつも成功することはむずかしい。

 話をおもしろく運ぶことは、もともと容易なことではない。弁舌は持って
生まれた才能であって、誰にでもできる力業(ちからわざ)ではない。

 ここで、誰にでもできる、話を聞いてもらうための方法をアドパイスし
ておこう。

 それはただ一つ。眉根(まゆね)を開いて、心から自然に湧き出してく
る晴れやかな表情をもって、相手と向き合うことだ。これこそが、相手
に本気で話を聞いてもらえる、唯一の秘訣である。
もし、態度や表情が自然に出てくるものでなく、演技で欺こうとしたら、
あなたの本心が相手に伝わるわけもなく、あなたの声も話も届くはずはな
い。

(1日「ひと粒」の黄金の知恵 森鴎外著 齋藤孝訳 イープレスト刊より)

では、また明日お会いしましょう!!

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