【労働時間】自己申告はOKか?

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 【労働時間】自己申告はOKか?
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1.労働時間の適正把握義務
  使用者には、労働者の労働日数や労働時間数などを、できるだけ
  正確かつ確実に把握する義務があります(日本コンペンション
  サービス[割増賃金請求]事件大阪高裁平12.6.30判決)。
  この義務は、一般的に使用者の労働時間把握・算定義務と言われて
  いますが、労働基準法(以下、労基法) 108条の賃金台帳の調整
  義務にその根拠を有すると考えられています。
  厚生労働省は、通達として「労働時間の適正な把握のために使用者が
  講ずべき措置に関する基準について」(平13.4. 6 基発339。以下、
  4.6通達)を出しています。
  その中でも「労働基準法においては、労働時間、休日、深夜業等に
  ついて規定を設けていることから、使用者は、労働時間を適正に
  把握するなど労働時間を適切に管理する責務を有していることは
  明らかである」としています。
  4.6通達では、労働時間を適正に把握する具体的方法として、
 
  (1)使用者が自ら現認することによって確認し、記録する方法
  (2)タイムカード、ICカードなどの客観的な記録を基礎として確認し、
   記録する方法
  (3)自己申告制により始業・終業時刻の確認・記録を行う方法
  を示しています。
  したがって、自己申告制で労働時間を管理することは違法では
  ありません。
  もっとも4.6通達は、原則的な労働時間の把握方法を(1)か(2)と
  位置づけており、(3)の自己申告制については、次の措置を講ず
  ることとしています。
   ア 白己申告側を導入する前に、その対象となる労働者に対して、
     労働時間の実態を正しく記録し、適正に自己申告を行うこと
     などについて十分な説明を行うこと。
   イ 自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致して
     いるか否かについて、必要に応じて実態調査を実施すること。
   ウ 労働者の労働時間の適正な申告を阻害する目的で時間外労働時
     間数の上限を設定するなどの措置を講じないこと。
  また、時間外労働時間の削減のための社内通達や時間外労働手当の
  定額払等労働時間に係る事業場の措置が、労働者の労働時間の適正な
  申告を阻害する要因となっていないかについて確認するとともに、
  当該要因となっている場合においては、改善のための措置を講ずること。
  したがって、自己申告側によって、労働時間を管理する場合には、
  上記ア~ウについても実施することが求められます。
2.管理監督者の労働時間管理
  4.6通達においては、同通達の適用範囲として次のとおり示されて
  います。
  本基準に基づき使用者(使用者から労働時聞を管理する権限の委譲を
  受けた者を含む。以下同じ。)が労働時間の適正な把握を行うべき
  対象労働者は、いわゆる管理監督者及びみなし労働時間制が適用され
  る労働者(事業場外労働を行う者にあっては、みなし労働時間制が
  適用される時間に限る。)を除くすべての者とすること。
  なお、本基準の適用から除外する労働者についても、健康確保を図る
  必要があることから、使用者において適正な労働時間管理を行う責務
  があること。
  このように4.6通達では、管理監督者に該当する管理職について、
  労働時間の適正把握義務の対象外とされていますが、健康確保の観点
  から、労働時間管理を行う責務があるとされています。
  深夜労働については一般従業員と同様に割増賃金を支払う義務が
  あります(深夜割増分25%で足り、100%は本来の給与に含まれると解
  される)。
  したがって、管理監督者について、自己申告によって出退勤時刻を
  管理することは問題ないといえます。
  もっとも、社内で管理職とされていても実態として管理監督者に該当
  しない者は、通常の労働者と同様の労働時間の適正把握義務があるこ
  ととなります。
(中川コメント)
事業主は従業員の労働時間を把握する義務があります。
それは管理監督者も同じです。
兼務役員(例:取締役営業部長)もその対象です。
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