【解雇】能力不足の社員

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労務管理に奇策なし!大企業20年、中小企業13年 人事労務畑一筋で
現場をはいずりまわった人事労務担当者が中小企業経営者のために語る
発行者: 中川清徳  2018年6月24日号 VOL.3619
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取り付く暇もない ←これは間違いの表現です。どこが間違いでしょう?
(続きは編集後記で)
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 【解雇】能力不足の社員
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中川:こんにちは。
社長:こんにちは。
   A君には困ったものです。
中川:何があったのですか?
社長:ミスが多いのです。
   しかも、他の社員より仕事ができないのです。
中川:指導や注意をしましたか?
社長:はい、何度も。
   同僚からも辞めて欲しいと陰の声を聞きます。
   それで解雇したいのです。
中川:試用期間は過ぎましたか?
社長:はい、もう10ヶ月目になります。
中川:できれば試用期間中に解雇するべきでした。
   試用期間中であれば解雇しやすかったのですが。
社長:それは反省します。
   で、A君を解雇したいのですが注意点はありますか?
中川:解雇はよほどのことがないと難しいです。
   本人も同僚に迷惑をかけているなど自覚がある場合は
   退職勧奨をしたらと思います。
社長:退職勧奨とは何ですか?
中川:退職願を提出してもらうのです。
   そうすれば自己都合退職となりますので、解雇予告手当を
   払う必要もありません。
社長:本人が退職願の提出を拒否する場合は?
中川:その場合はあわてて解雇しないことです。
社長:解雇予告手当を払えば解雇できるのではないですか?
中川:解雇する正当な理由が必要です。
   よほどの理由がないと訴訟になると会社が負けます。
社長:うーん。困った。
中川:A君の指導はいままで口頭でしていたでしょう?
社長:はい。
   上司は頻繁に注意していました。
中川:では、次のステップとして書面で注意指導をしましょう。
社長:どんな内容ですか?
中川:次のようなものです。(ビジネスガイド741号より引用)
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貴殿は、現在○○業務に従事していますが,口頭では何度も注意・指導して
きたにもかかわらず、同じ業務に従事する他の社員に比べてきわめて仕事が
遅く、さらにはミスが多い状況です。
そこで、職務に集中し、ミスを少なくするとともに、仕事の効率を上げて
他の社員に比べて遅い状況を改善してください。
当面、所定労働時間内で集中して、同時間内に他の社員と同水準となるよう
努力してください(筆者注:ミスの数量や生産性の数値百標を示せるので
あれば,以下で示す)。
 そのため、当面、残業は一切行わず、所定労働時間内で仕事を処理
してください。
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社長:なるほど。
   残業を禁じるのはいいですね。
中川:この書面は総務部長名がいいでしょう。
社長:で、この書面の意味は何ですか?
中川:会社が能力不足による解雇でもめた場合の証拠になります。
   したがって、上記の書面を受け取ったことと本人の決意を
   書面でもらうといいでしょうね。
社長:誓約書ですか?
中川:そうですね。
   次のような文案が考えられます。
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   「このたびは注意指導票をいただきました。
   ご迷惑をおかけします。
   今後はミスを少なくし、能率良く仕事をするように心がけます。
   そのために、ミスを起こさないように二度確認します。
   また、仕事の能率を高めるために先輩からコツを学びます。
   早く一人前になるように心が掛け増すのでご指導を
   よろしくお願い申し上げます。」
    署名捺印
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社長:なるほど。
   書面で誓約させるといいかも。
   でも、それでも仕事に進歩がない場合は?
中川:そのときは本人も覚悟するでしょう。
   退職の話し合いに応じるでしょう。
社長:それでも応じなかったら?
中川:そのようなことも考えられますので
   A君の日常の指導内容などを上司がメモするようにしましょう。
社長:どうしてメモさせるのですか?

中川:A君にここまで指導したがダメだったという証拠を残すためです。
社長:面倒ですね。
中川:いざとなったら証拠が威力は発揮します。
社長:あぁあ。
   試用期間中に解雇しておけばよかった。
(中川コメント)
試用期間を過ぎた場合に能力不足やミスが多いことを理由に解雇するのは
難しくなります。
試用期間中に適性を見極めましょう。
試用期間が過ぎた場合は
本人への注意指導をしてそれでも改善されない場合に解雇が可能です。
しかし、解雇問題は訴訟に発展する可能性があります。
したがって、できるだけ自主退職(退職願の提出)としましょう。
それができない場合は本日のような記事の対応が必要です。
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    ご質問、ご感想、ご意見をお待ちしています      
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    編集後記      
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取り付く暇もない ←これは間違いの表現です。どこが間違いでしょう?
正解は「取り付く島もない」です。
「取り付く島もない」は、相手がつっけんどんで話をするきっかけが
みつからないときや、頼れるところもなくどうしょうもないときのことを
いうたとえ。
「暇もない」といいがちなのは、相手が忙しそうで、取り合ってもらえない
ことからだろうか。
忙しい状態を表す、「息付く暇もない」との混同かもしれない。
(間違えると恥ずかしい日本語500 日本語倶楽部編)
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