【就業規則】転勤、出向を強制できるか

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労務管理に奇策なし!大企業20年、中小企業13年 人事労務畑一筋で
現場をはいずりまわった人事労務担当者が中小企業経営者のために語る
発行者: 中川清徳  2020年1月4日号              VOL.4363
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天邪鬼(あまのじゃく)の退治法
(続きは編集後記で)
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【就業規則】転勤、出向を強制できるか
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1.転勤命令の根拠と就業規則
転勤とは、一般に,住居の変更を伴う配置転換をいう。転勤に関するリー
デイングケースである東亜ペイント事件(最高裁二小昭61. 7.14判決)で
は、労働協約および就業規則に、業務上の都合により従業員に転勤を命ず
ることができる旨の定めがあり、現に全国転勤を頻繁に行っており、採用
時に勤務地限定の特約も存しない場合において、使用者は個別的同意なし
に転勤を命ずる権限を有するとしている。
さらに、同判決は、使用者の転勤命令権は無制約に行使できるものではな
く、これを濫用することは許されないとしたうえで、「転勤命令につき業
務上の必要性が存しない場合又は業務上の必要性が存する場合であっても、
当該転勤命令が他の不当な動機・目的をもってなされたものであるときも
しくは労働者に対し通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせる
ものであるとき等、特段の事情の存する場合でない限りは、当該転勤命令
は権利の濫用になるものではない」とした。
転勤命令についても、労働契約法3条4項「労働者及び使用者は、労働契約
を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し及び義務を履行し
なければならない」(信義誠実の原則)、同5項「労働者及び使用者は、
労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあって
はならない」(権利乱用法理)が適用される。
2.出向命令の根拠と限界
出向(在籍出向)は、雇用契約に基づき、出向元に在籍しながら他社(出
向先)に赴き、かつ出向先の従業員となりその指揮監督に従い、出向先の
業務に従事するものをいう。
出向は、企業内配転である転勤等とは異なり、異動が企業間で行われるこ
とから、民法625条(使用者は,労働者の承諾がなければ,その権利を第
三者に譲渡することはできない)が適用される。この民法625条の「労働者
の承諾」とは、
(1)出向に対する個別具体的な同意、つまり、具体的なある出向先への出向
 が決まったときに、その都度、労働者本人から同意を得ることを要する
 のか
(2)労働協約や就業規則に出向規定が存する場合には出向に応ずることが労
 働契約の内容となっているという包括的な同意があるとみて、これらに
 基づき出向を命ずることができると解することができるのかという議論
 がある。
裁判例は、後者を採用し、労働協約や就業規則に出向規定が存し、出向に
際して出向先企業の範囲、出向期間や賃金、退職金など出向期間中の労働
条件に関して明示されている場合で、出向命令が人事権の監用に当たらな
い場合には、労働者の個別の同意がない場合でも、出向命令の効力を肯定
する(新日本製鏡〔日畿運輸第2〕事件最高裁二小平15.4.18判決)。
労働契約法14条は、「使用者が労働者に出向を命ずることができる場合に
おいて、当該出向の命令が、その必要性、対象労働者の選定に係る事情そ
の他の事情に照らして、その権利を濫用したものと認められる場合には、
当該命令は、無効とする」として,出向に権利監用法理が適用されること
と、その判断基準を示した。
この「出向を命ずることができる場合」とは、出向命令の根拠規定が労働
協約や就業規則に存するか、個別の同意がある場合を指す。
また、出向命令に際し、出向先、出向中の労働条件、出向期間の取り扱い
等を明示したうえで、出向の必要性が存し、人選等が適正であり、不当な
動機・目的、違法がなく、労働者が被る不利益が著しくないといった場合
には当該出向命令は権利監用に当たらず有効となる。
(中川コメント)
就業規則に記載があれば転勤、赴任を強制できます。
ただし、たとえば、転勤すると親の介護ができなくなるという事情がある
場合は強制できません。
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    編集後記      
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天邪鬼(あまのじゃく)の退治法
人の言うことに、いちいち反対する人間がいる。
この「反対癖」には、いろいろなタイプがあって、理由がなくても、とり
あえず反対しておこうという者さえいる。これは罪の軽いほうである。
私の知人の長官に、このタイプがいて、部下が意見を持ってくると必ず反
対の裁決をした。そこで部下たちはこの習癖を逆用し、希望と反対の要望
を出して、まんまと望みどおりの裁可を獲得していた。
これは、まことにうまいやり方だが、あまり勧められない。
なかには、反対のために反対したい、人と論争することが大好きな者がいる。
こういう連中と対するとき、彼らに反対の言葉や気配が生じたら、すぐさ
ま対話をきっぱりと中断するのが最上策だ。
また、なかには、相手をからかうために反対を唱える者もいたりする。
こういう連中に対しては、こちらに気持ちの余裕さえあれば、少し相手に
なってやり、反対にからかってやったらよいだろう。
過激なのでは、いわゆる「けんかがい」という恐ろしいのがある。
これは相手の言葉をとらえて因縁をつけ、最後は暴力で決着をつけようと
いう物騒なものだ。
これは欧米に多く、しばしば決闘までに発展するが、日本では少ない。
(1日「ひと粒」の黄金の知恵 森鴎外著 齋藤孝訳 イープレスト刊より)
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