2025年春季労使交渉の賃上げ動向

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中小企業の人事労務管理に役立つピカイチ情報

「労務管理に奇策なし」
大企業で20年、中小企業13年の経験を持つ人事労務のプロが
中小企業経営者・労務担当者のために語る!

発行者:有限会社中川式賃金研究所 中川清徳
2025年3月17日 Vol.5901
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[アインシュタインの名言・格言|人は皆、賢く愚かだ]

(続きは編集後記へ)

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2025年春季労使交渉の賃上げ動向
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2025年春季労使交渉における第1回回答集計が発表されました。
今年の賃上げ率は、平均5.46% と、昨年の5.28%からさらに
上昇し、34年ぶりの高水準となりました。
特に中小企業では 5.09% となり、33年ぶりに5%台へと突入
しました。

1. なぜ賃上げが加速しているのか?
今回の賃上げ率の上昇は、人手不足への危機感が大きな
要因です。 「賃上げを行わないと人材を確保できない」
という状況が、企業経営の根幹を揺るがす課題となっています。

実際に、人材確保の困難さが原因で倒産する企業が急増 して
います。帝国データバンクの調査によると、人手不足や人件費
の高騰を理由に法的整理に至った企業は2024年に342件 に
のぼり、前年比で3割増加。2014年と比べると5倍近くに
達しています。

この状況から、多くの企業が「賃金を上げなければ人が集まら
ない」という認識を持つようになったのです。

2. 中小企業の賃上げはどこまで続くのか?
今回の集計では、中小企業(従業員300人未満)の賃上げ率は
5.09%で、大企業(5.51%)との差は縮まりつつあります。
また、中小企業の賃上げ率の伸び幅(0.67ポイント)は、
大企業(0.17ポイント)を上回りました。

これは、連合が中小企業に対し「大企業並みの賃上げ」を
強く求めていることが影響しており、中小企業もこれに追随
する形となっています。

しかし、大企業と違い、中小企業は利益率が低く、人件費の
増加を吸収しにくい構造です。
4~5月のピーク時まで、この勢いをどこまで維持できるかが
焦点となります。

3. 若手に偏る賃上げ、ベテラン層とのバランスは?
今回の賃上げで特に目立つのが、若手社員の給与が優先的に
上がっているという点です。
第一生命経済研究所の調査によると、2019年と比較した2024年
時点の大卒者の基本給の伸び率は以下の通りです。

- 20~24歳:+10.3%
- 25~29歳:+9.5%
- 40~44歳:+0.1%
- 50~54歳:-3.0%(減少)

また、経団連の調査では、若手層に重点的にベースアップ(ベア)
を実施した企業が34.6% に達し、30~45歳の中堅層は9.4%、
45歳以上のベテラン層はわずか1.1%にとどまりました。

この背景には、企業が新卒採用を維持するために、初任給を
上げ、それに伴い若手の給与を底上げしていることがあります。
若手の引き留めを最優先とし、中堅・ベテラン層への配分が
後回しになっているのです。

4. 中小企業経営者はどう対応すべきか?
このような状況下で、中小企業経営者としては以下の対応が
求められます。

(1) 賃上げの方針を明確にする
単に「賃上げ圧力があるから」と流されるのではなく、
人件費をどの程度増やせるのか、収益構造と照らし合わせた
計画を立てることが重要です。
そのためには、過去の労働分配率が大切な要素となります。

(2) 賃上げを全世代にバランスよく配分する
若手優遇が進むと、40~50代の中堅・ベテラン社員の
モチベーション低下に繋がる可能性があります。
「全世代の給与バランス」を考えた設計を意識しましょう。

(3) 給与以外の施策も活用する
賃上げが難しい場合は、福利厚生の充実や働き方改革など、
給与以外の施策で従業員満足度を向上させる工夫が必要です。

(4) 賃上げに見合う生産性向上を推進する
単なる人件費増加ではなく、業務効率化やDX(デジタル化)に
よる生産性向上も併せて進めることで、利益を確保しながら
賃上げを実施できる環境を作りましょう。

【中川コメント】

本日の記事は、2025年7年3月15日の日経新聞を参考に
しています。

2025年春季労使交渉では、中小企業も賃上げの流れに巻き
込まれていることが明確になりました。
特に、若手に恩恵が偏る賃上げの構造が強まる一方で、
中高年層への配分は後回しにされています。

経営者としては、単に賃上げを追随するのではなく、
バランスの取れた人事戦略を立てることが不可欠です。

まずは御社の賃金水準を把握することです。
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編集後記
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