運転記録証明書で発覚した1年前の過去の飲酒運転
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中小企業の人事労務管理に役立つピカイチ情報
「労務管理に奇策なし」
大企業で20年、中小企業13年の経験を持つ人事労務のプロが
中小企業経営者・労務担当者のために語る!
発行責任者:有限会社中川式賃金研究所 中川清徳
2025年3月19日 Vol.5903
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心配の種
(続きは編集後記へ)
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運転記録証明書で発覚した1年前の過去の飲酒運転
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Q
ある社員が1年前に飲酒運転をしていたことが、”運転記録
証明書”の提出により判明しました。
当社は卸業であり、業務上の運転機会が多いため、飲酒運転を
厳しく禁止しています。
1年前の違反に対して、今から懲戒処分を行うことは可能でしょうか?
A
[結論]
懲戒処分できます。
1 懲戒処分の前提条件
懲戒処分を行うには、以下の3つの条件を満たす必要があります。
(1) 就業規則に飲酒運転を懲戒事由として明記しているか
(2) 懲戒処分の時効にかかっていないか
(3) 処分の相当性が確保されているか
この3つの要件を満たしていれば、1年前の飲酒運転であっても
懲戒処分の対象となる可能性があります。
2 就業規則に飲酒運転の懲戒事由が明記されているか
まず、就業規則に飲酒運転が懲戒処分の対象であると明記されて
いるかを確認しましょう。
例えば、以下のような条項があれば処分が可能です。
・社内外を問わず、飲酒運転を行った場合は懲戒処分の対象とする
・会社の信用を著しく損なう行為(飲酒運転等)が発覚した場合、
懲戒処分の対象とする
・運転業務に従事する者が、飲酒運転等の法令違反を行った場合、
懲戒処分とする
御社は就業規則に飲酒運転禁止を明記しているため、この条件は
満たしています。
3 懲戒処分の時効は問題にならないか
1年前の飲酒運転に対して懲戒処分を行う場合、時効の問題を
考慮する必要がありります。
多くの就業規則では、
・懲戒処分は事由発生から6か月以内に行う
・事実発覚後、速やかに処分を行う
といった規定を設けています。
この場合、1年以上前の行為に対して懲戒処分を行うのは難しくなります。
しかし、今回は運転記録証明書の提出で最近発覚したという
事情があるため、発覚後すぐに対応すれば懲戒処分の正当性が
認められる可能性が高いです。
4 懲戒処分の相当性は確保されているか
飲酒運転の内容、業務との関連、会社への影響を考慮し、処分の
妥当性を検討しましょう。
卸業の場合、運転業務が含まれる可能性が高いため、会社の信用を
損なう行為として厳しく対処できます。
業務中でなくても、運転業務がある職種なら厳格な処分が可能です。
過去の判例でも飲酒運転=会社の信用失墜と判断される傾向がある
ため、適切な処分が求められます。
懲戒処分は社会通念上、妥当な範囲で行うべきです。
5 適切な懲戒処分の種類
状況に応じて、以下のような懲戒処分を検討します。
軽微なケース(事故なし、初犯): 戒告・厳重注意、減給
悪質なケース(事故あり、繰り返し違反): 出勤停止、降格処分
業務に直接影響がある(営業車の運転が必要な職種など)
: 職務変更(運転業務禁止)、最悪の場合は懲戒解雇
処分の重さは慎重に決め、公平性を確保することが重要です。
【中川コメント】
「知らなかった」では済まされません。会社の信用を守るため、
運転記録証明書の定期的提出を徹底しましょう。
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編集後記
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心配の種
「おお、雨、が降ってきたぞ。街に出かけているワイフが
心配だ」
「大丈夫だよ、きっとどこかの店にでも入って、雨宿りして
るだろうから」
「それが心配なのさ」
出典:『これが本当のジョーク世界一』(天満龍行編著)
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免責事項
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