「定年延長」と「退職金のタイミング」——これは“不利益変更”なのか?
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中小企業の人事労務管理に役立つピカイチ情報
「労務管理は王道こそ最善」
大企業で20年・中小企業13年の経験を持つ人事労務のプロが
中小企業の経営者・労務担当者のために語る!
発行責任者:有限会社中川式賃金研究所 中川清徳
2025年4月16日 Vol.5931
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素敵な勘違い、不幸な勘違い
(続きは編集後記へ)
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「定年延長」と「退職金のタイミング」——これは“不利益変更”なのか?
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定年を60歳から65歳へ引き上げる。
こう聞くと、一見「働ける期間が延びて良いことだ」と
思われるかもしれません。
しかし——
それに伴い、退職金の支給タイミングも60歳から65歳へと
変更されると、「ちょっと待って、それって”不利益変更”では?」
と疑問を持つ社員もいます。
実際に、ある企業では次のような声が上がりました。
「60歳で退職金をもらえる前提で住宅ローンを組んでいた。
支給が5年遅れると返済計画が狂ってしまう……」
このような変更は、労働条件の「不利益変更」に該当するのでしょうか?
◆ 不利益変更にあたる可能性は「高い」
弁護士によると、今回のようなケースでは、これまで60歳で
支給されていた退職金がもらえなくなる以上、
「不利益変更」として扱われる可能性が高いとされています。
就業規則の変更が有効となるためには、
労働契約法10条に基づき、以下のような観点から「合理性」が問われます。
・変更によって労働者が受ける不利益の程度
・変更の必要性
・変更後の制度内容の妥当性
・労働組合等との交渉経緯
・その他の事情
特に今回のように、生活設計やローン計画に大きな影響を
及ぼす可能性がある変更については、慎重な対応が求めらるでしょう。
◆ 企業としての対処法は?
では、企業はどう対応すればよいのでしょうか。
以下のような制度設計が推奨されます。
・ 希望者には、60歳時点で退職金を支給する選択肢を設ける
・ 制度変更の背景や意図を十分に説明し、社員の理解を得る
・ 税制上の取り扱い(退職所得の条件)にも注意を払う
一律で退職金支給を65歳に繰り下げるのではなく、
個別の事情に配慮した柔軟な運用が、後のトラブル防止にも
つながります。
【中川コメント】
「定年を延ばす=よいこと」と短絡的に捉えがちですが、
その裏で、”退職金の支給時期変更”という落とし穴が潜んでいる
ことに注意が必要でしょう。
とくにローンやライフプランとの兼ね合いで、60歳支給を
期待している社員にとっては、
「退職金が遅れる=生活の危機」につながることも。
就業規則変更は“正しさ”だけでなく、“丁寧な配慮”と“現実的な運用”が
カギです。
単なる制度見直しではなく、社員と未来を共有する機会と捉えて、
信頼を育む対応を心がけたいところですね。
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編集後記
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素敵な勘違い、不幸な勘違い
結果を出せる人と出せない人の違い。
それは「勘違いの種類」です。
「できないかも」「失敗しそうな気がする」
これを不幸な勘違いと呼びます。
「できるかも」「うまくいくに決まってる」
これを素敵な勘違いと呼びます。
どちらの勘違いをするかで、
手にする未来は変わります。
出典:『心に響く言葉』(永松茂久著/徳間書店)
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