過労死による裁判例

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社長、上司が「あの人はすごい!」といわれるピカイチ情報

労務管理に奇策なし!大企業20年、中小企業13年
人事労務畑一筋で現場をはいずりまわった人事労務担当者が
中小企業経営者のために語る
発行者: 中川清徳  2024年9月10日 VOL.5713
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相手の立場になって考えよう。

(続きは編集後記で)

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過労死による裁判例
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横浜南労基署長(東京海上横浜支店)事件
(最1小判平12.7.17)

これは死亡事故に関する事件です。具体的には、東京海上火災
保険株式会社の横浜支店で勤務していた社員が、過重労働に
よりうつ病を発症し、その後自殺したことが問題となった
事件です。

【事案の概要】
支店長付きの運転手Xが、昭和59年5月にくも膜下出血の
発症により休業したという事件で、労働基準監督署長は脳動
脈りゅうが加齢とともに自然増悪したものであり、業務上の
負傷疾病に当たらないとして不支給決定をした。一審判決は
業務上と逆転の判決、しかし、控訴審判決は再逆転で業務外
の判断を下した。

【判決の要旨】
最高裁は、次の各点のように述べて、業務上であるとして
再々逆転の判断を下した。

(1)長時間労働について
Xは昭和58年1月以降発症に至るまでの1年4か月間、相当
長期間にわたり、精神的緊張を伴う、不規則な勤務を強いられ、
拘束時間は早朝から深夜に及ぶ長いものであった。
発症の約半年前の昭和59年4月以降、1日平均の時間外労働時間
数は7時間を上回っていた。
昭和59年4月は1日の走行距離が昭和58年12月以降最高で
あった。

発症の前日から当日にかけての勤務は、前日の午前5時30分に
出庫、午後7時30分ころまでオイル漏れの修理をし、午前1時
ころ就寝し、3時間30分の睡眠の後午前4時30分ころに起床
して、午前5時前に就労を開始した。

(2)基礎疾病について
Xは、くも膜下出血の発症の基礎となる疾患(脳動脈りゅう)
を有し、高血圧症が進行していたが、血圧が正常と高血圧の
境界領域にあり、治療の必要のないものであった。

(結論)
Xの基礎疾病の内容、程度、Xが本件くも膜下出血発症前に
従事していた業務の内容、態様、遂行状況等に加えて、脳動脈
りゅうの血管病変は慢性の高血圧症、動脈硬化により増悪する
ものと考えられており、慢性の疲労や過度のストレスの持続が
慢性の高血圧症、動脈硬化の原因の一つとなり得るもので
あることを併せ考えれば、Xの右基礎疾患が右発症当時その
自然の経過によって一過性の血圧上昇があれば直ちに破裂を
来す程度にまで増悪していたとみることは困難というべきで
あり、他に確たる増悪要因を見いだせない本件においては、
Xが発症前に従事した業務による過重な精神的、身体的負荷が
Xの右基礎疾患をその自然の経過を超えて増悪させ、右発症に
至ったものとみるのが相当である。

(本判決の意義)
過労死等の認定基準について、判決当時の認定基準は、
過重勤務は、前日または当日、それがない場合でも発症日
から1週間以内になくてはならず、それより前は付加的要因に
すぎないものとされていたが、本件のXは、慢性の疲労や
慢性のストレスの持続を原因として基礎疾病の自然的経過を
超えて増悪させたとして業務上の判断をしたことは画期的である。

疲労・ストレスの蓄積を認める考え方であり、その後、
過労死等の認定基準が直前の6か月間の過重労働を脳血管
疾患、虚血性心疾患の発症の原因として扱う改正(平成13年)
につながった。

(中川コメント)
この判決は、過労死の認定において大きな転換点となった
ものです。それまでの認定基準は、労働者の過重労働が
発症直前の短期間に集中している場合にしか労災と認められ
ないことが多かったのですが、この事件では長期にわたる
疲労とストレスの蓄積が問題とされました。
これにより、労働者の慢性的な負担にも目が向けられるよう
になり、現在の過労死認定の基礎となる考え方が確立された
と言えるでしょう。

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編集後記
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相手の立場になって考えよう。

物事をうまく行かせたいという気持ちはだれもが持っています。
同時に自分の考え方を通したいという気持ちも持っています。

ここが人の悩み苦しみの元なのです。「自分はこう思うのに、
相手がそのようにしてくれない。だからうまくいかないんだ。」

そう思って夜も眠れない日々を送っている人は少なくあり
ません。私たちは子供の頃、親や先生から「自分がされたら
嫌なことを人にしてはいけません」と教わりました。これは
大人になっても同じです。「こんなことを言われたら、相手は
どう思うだろうか?」「相手はどんな風にして欲しいの
だろうか。」

そこに解決の道はあるのです。人の価値観は持って生まれた
気質や育った環境、経験などによって、皆、異なります。

自分と考えが違うから、あいつは認めない仕事を任せられない
という態度では人が心を閉ざしてしまいます。伏せたコップ
にいくら水を注いでも入りません。まずは相手の言葉に耳を
傾け、「なるほど」と受け止める事です。相手を認めること。
そうすれば相手のコップは上向きになるかもしれません。
良い人間関係はそこから始まるのではないでしょうか?

「ミヤジマ ism rev.2」朝礼で音読 株式会社ミヤジマより
URL:http://miyajima-jp.com

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