【労災】駐車場の雪かきで骨折した
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労務管理に奇策なし！大企業20年、中小企業13年 人事労務畑一筋で
現場をはいずりまわった人事労務担当者が中小企業経営者のために語る
作者： 中川清徳 2016年1月22日号 VOL.2532
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遺伝もトラウマもあなたを支配してはいない。
どんな過去であれ、
未来は『今ここにいるあなた』が作るのだ。
（続きは編集後記で）
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【労災】駐車場の雪かきで骨折した
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中川 こんにちは。
社長 こんにちは。
Ａさんについて相談です。
中川：はい、何でしょうか？
社長：先日の大雪で駐車場が使用できなくなりました。
Ａさんは使用できるようにと雪かきをしました。
ところが、滑って骨折しました。
これはどうしたらいいですか？
中川：雪かきはＡさんだけでしたのですか？
社長：Ａさんが一番早く出勤したからＡさんがしました。
後から来た人も、雪かきをします。
大雪はめったにありませんから、雪かきをするのは年に数回です。
中川：雪かきをする時間は給料を払うのですか？
社長：給料は払っていません。
社員が自主的に雪かきをしています。
マイカー通勤でない社員は雪かきをしません。
中川：なるほど。
自主的に雪かきをしているのですね。
社長：そうです。
Ａさんが骨折をしたのは自主的な雪かきが原因です。
しかし、気の毒なのでなんとかならないかと思っています。
中川：雪かきは仕事とは関係がありませんね。
労災は適用されないでしょう。
しかし、通勤中の被災と解釈できます。
社長：あのう、通勤中と言っても会社に到着しています。
中川：そうですね。
しかし、マイナーを駐車するために、雪かきをしているのですから
まだ、通勤が完了しているとは言えないでしょう。
社長：では、通勤災害となるのですね。
中川：そう思います。
社長：そう思いますとは、自信なさげですね。
中川：通災の判断は労働基準監督署がすることです。
事情を説明すれば、通災となる可能性が高いでしょう。
社長：では、労災にしたほうがいいですね。
雪かきは仕事としてやっていたとすれば労災になるでしょう。
中川：ウソはダメです。
雪かきを業務命令でしているのであれば仕事中の被災となります。
しかし、実態は自主的な作業です。
それを偽って申告をすると、それがバレたら労災は適用されませんよ。
それに、会社はおとがめを受けますよ。
社長：バレる可能性は低いでしょう。
中川：そうかもしれません。
社長が気にしなければならないのは、労働基準監督署もそうですが
従業員です。
社長：はぁ？
中川：Ａさんの骨折を労災でないのに、特別に労災扱いにしたとします。
Ａさんはこのことを周囲に話す可能性が大です。
自分は特別扱いをされ、そのうえ得をしたと。
社長：うーん。
中川：次第に社内にそのうわさが広がります。
中にはＡさんを特別扱いすることを快く思わない人もいるでしょう。
その人が労働基準監督署に通告する可能性があります。
あるいはＳＮＳとかにも...。
社長：いわゆる、内部告発ですか。
中川：そうです。
今は、内部告発が怖いのです。
社長：分かりました。
通災で申請してみます。
（中川コメント）
雪かき、清掃など始業前の作業は業務命令をしていない（つまり自主的
な行為）場合は、労働時間ではありません。したがって、賃金に支払いは
不要です。また、その行為中のけが等は労災にはなりません。
今回の事例では通勤災害扱いになる可能性が高いと思います。
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編集後記
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遺伝もトラウマもあなたを支配してはいない。
どんな過去であれ、
未来は『今ここにいるあなた』が作るのだ。
ある殺人犯は「なぜ殺したのか？」と問われたときに「自分は親に捨てら
れたからだ」と答えました。親に捨てられ、まともな家庭に育たなかったか
ら自分は殺人犯になったのだ。
自分は悪くないという理由です。しかし、親に捨てられた子供がすべて殺
人犯になるわけではありません。中には、自分と同じような苦しみを次世代
の孤児たちに味わわせたくない、と孤児の自立支援に奔走する人もいます。
同じ環境に育っても、人は自分の意思で、違う未来を選択できるのです。
しかし、私たちはついつい、現在の問題を過去のせいにしてしまいがちです。
「子供の頃、お母さんが私をおいて働いてばかりいたから、私はこんなに暗
い性格になってしまった。私は悪くない。お母さんのせいだ」
「家が裕福でなかったから大学に行けなかった。もしもっとお金に余裕があれ
ば、今頃は大学を卒業してもっといい職業につけていたに違いない」
このように過去の環境のせいにしてしまうのです。しかし、それは単なる言
い訳です。過去の体験をバネにして未来を切り開く道を選ぶのか、ふてくされ
て被害者のふりをして言い訳だらけの人生を過ごすのか。それを決めるのは自
分です。自分次第でいかようにでも進む道を決めることができるのです。
（アルフレッド・アドラー 人生に革命が起きる１００の言葉
小倉広箸 ダイヤモンド社刊）
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