【皆勤手当】有期労働契約者に支給しないことは違法か?
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労務管理に奇策なし!大企業20年、中小企業13年 人事労務畑一筋で
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発行者: 中川清徳 2017年1月6日号 VOL.2963
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遊行の勧め
(続きは編集後記で)
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【皆勤手当】有期労働契約者に支給しないことは違法か?
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中川:こんにちは。
社長:こんにちは。
Aさんは有期雇用契約です。
Aさんが、なぜ正社員に支給している皆勤手当がないのかと
質問されました。
皆勤手当を支給しないのは、労働契約法違反ではないかと。
中川:労働契約法に次の条文があります。
(期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止)
第二十条 有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容
である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と
期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の
内容である労働条件と相違する場合においては、
当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う
責任の程度(以下この条において「職務の内容」という。)、
当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、
不合理と認められるものであってはならない。
Aさんはこれを指摘していますね。
社長:へえ、そんな法律があるのですか。
有期契約でも正社員と同じ労働条件にしなければならないのですか。
それでは困ります。
中川:条文に次のようにあります。
当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う
責任の程度(以下この条において「職務の内容」という。)、
当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、
不合理と認められるものであってはならない。
つまり、職務の内容、配置変更の範囲、その他の事情を考慮して
不合理でなければ正社員と有期契約社員の労働条件が異なっても
OKということです。
社長:もっと分かりやすく説明してもらえせんか。
法律はわかりにくい。
中川:具体的に申し上げます。
今回はAさんが皆勤手当は正社員に支給されているのに、有期雇用
契約の場合に支給されないのは違法だと言ってきましたね。
正社員の場合は全営業日数出勤した場合に支給されるものです。
逆に言えば、欠勤があったら皆勤手当は支給されません。
有期契約の場合は、皆勤手当が支給されなかったとしても、全営業
日数出勤したら、勤務成績を考慮して昇給することがあります。また、
契約更新時昇給することもあります。
だから、正社員と有期雇用契約者の違いに不合理がないとなるのです。
社長:うーん。
分かったような分からないような...。
中川:たとえば、住宅手当の場合に正社員には支給するが、有期雇用契約には
支給しないことも不合理ではありません。
社長:どうしてですか?
中川:正社員は転勤や配転により、住宅コストが増える可能性があります。
有期雇用契約の場合は転勤や配転はありません。
社長:なるほど。
中川:違法かどうかは、手当の実態で判断することになります。
(中川コメント)
ハマキョウレックス差戻後控訴審事件(大阪高裁 平28.7.26判決)で
各種手当について下記の判断がされました。
参考にしてください。
無事故手当 × 正社員と有期雇用契約で差をつけてはいけない
作業手当 × 同上
給食手当 × 同上
通勤手当 × 同上
住宅手当 ○ 転勤等の有無があるから差をつけてもOK
皆勤手当 ○ 有期雇用契約でも査定で昇給のチャンスあるからOK
家族手当 ○ ※
一時金 ○ ※
定期昇給 ○ ※
退職金 ○ ※
※について
有期契約労働者は、正社員(無期契約労働者)と同一の権利を有する地位に
あることの確認を求めることができない
労働条件が、労働契約法20条に違反するものであっても、同上違反の
民事的効力として、当然に正社員の労働条件と同一になる補充的効力を
有するとは認められないし、違反するとしても、正社員就業規則等の該当
規定が適用されると解することはできない。
上記は、ハマキョウレックス差戻後控訴審事件の判断です。
他の裁判では異なる判断がされる可能性があります。
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編集後記
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遊行の勧め
内なる世界に沈潜するとは、要するに意識を、浮き世の常識智の世界から離
れさせ、是非分別の思考(それは緊張の姿)から一時的に解脱するところの
心的行為です。
そして、それは大きなリラックス行でもある、と私は考えるのであります。
そしてまたそれは、その人の人となりに、一つのゆとり、余裕といった
雰囲気をただよわすようにもなるのです。
余裕を得るには、人生を楽しもうと決心することです。
また、自分の人生を一つのゲームである、と思うことです。
あまり真剣に「何が正しいことか?」などということを追求するの
をやめて、「明るく、楽しく暮らす」よう考えることです。
「遊行者」と仏教ではいいます。
この世の旅路を、淡々と楽しみながら生きて行こうと心がけることです。
(人たらしの術 無能唱元著より)
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