【特別休暇】休日は通算するのか?

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 【特別休暇】休日は通算するのか?
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中川:こんにちは。
社長:こんにちは。
   A君のお父さんが亡くなりました。
   その場合の特別休暇について質問です。
中川:それはお気の毒ですね。
   質問は何ですか?
社長:父親の死亡の場合は特別休暇が3日です。
   金曜日に亡くなりました。
      土曜日、日曜日は休日です。
   その場合、特別休暇の3日は土曜日、日曜日も通算するのですか?
中川:お好きに。
社長:お好きにといわれても。
   
中川:労働基準法では特別休暇を与える義務はありません。
   だから、お好きに決めればいいです。
社長:へえ、特別休暇は与えなくても良いのですか。
中川:はい。
社長:でも、なんだか気が済まないですね。
   不幸があったときは特別に休ませるのが人情でしょう。
中川:そう思うのなら特別休暇を与えればいいですよ。
   
社長:ふーん。
   それで、先ほどの話に戻りますが、特別休暇の3日に休日が
   重なる場合はどうしたらいいですか?
中川:お好きに。
社長:また、お好きにですか。
   よその会社はどうしていますか?
中川:特別休暇が休日と重なる場合は通算しないで与えている会社が
   多数です。
   A君の場合は、金曜日、月曜日、火曜日が特別休暇です。
社長:なるほど。
   では、休日が重なった人は得をしますね。
中川:得をするとか損をするとかという話ではありません。
   経営者のお考えです。
   休日が重なった場合、休日も特別休暇の付与日数に含めると
   お考えならそれでもいいですよ。
社長:要するに、社長が決めればいいということですね。
中川:そうです。
社長:ところで、中川さんはどう考えているのですか?
中川:特別休暇が休日と重なった場合は、休日も含めることが
   本来の趣旨だと思います。
   A君の場合は、金曜日は特別休暇、土曜日と日曜日は
   会社の休日、それを通算すると3日になります。
   だから、A君は月曜日に出勤することになります。
社長:でも特別休暇は3日です。
   だから土曜日、日曜日は特別休暇ではないので
   3日与えたことになりません。
   それで悩んでいるのです。
   
中川:そうお考えなら、休日の重なりは通算しないで
   特別休暇を3日与えたらいいです。
社長:要するに好きに決めろと言うことですね。
   でも、中川さんはどうして休日と重なる場合は
   休日も含めて特別休暇とすると考えるのですか?
中川:特別休暇は特別に与えるものです。
   死亡の場合はいろいろ大変だろうから、また悲しみも
   あるだろうから休んでもいいよということです。
   つまり恩恵的に労働を免除しています。
社長:恩恵的なものといいますと?
中川:法律で定められた権利ではないからです。
   就業規則に特別休暇を付与すると決めれば従業員の
   権利となります。
   しかし、無条件で3日の権利があることではないでしょう。
   悲しみは休日が重なると長引くのでしょうか?
社長:はあ?
中川:父の死亡にたいして特別休暇を3日付与するのです。
   休日を含めると実質5日連続で休むことになります。
   父の死亡の悲しみは休日が含まれる含まれないで
   延びたり縮んだりするのでしょうか?
   葬儀は延びたり縮んだりするのでしょうか?
社長:ふーん。
中川:では、極端な話をしますね。
   ゴールデンウイークで4月29日から5月6日まで
   会社の休日だったとします。
   親が4月29日に亡くなったとします。
   葬式はゴールデンウイーク中に終了しました。
   しかし、特別休暇の3日の権利があるので、5月7日から3日休むと
   従業員が言ったらどうしますか?
社長:とっくに葬儀は終わっているのに、変ですね。
中川:特別休暇の本来の趣旨からいうと休日の重なりも含めるべきでしょう。
   しかし、不幸な状況でそこまで厳密に言うのがいいかどうかは
   経営者のお考え次第です。
社長:それで好きに決めろというのですね。
(中川コメント)
不幸がある場合の特別休暇を有給休暇としている会社が大多数です。
特別休暇を有給とすると、特別休暇が権利に変質します。
休まなければ損だと。
不幸に対する特別休暇は休日が含まれると伸びるのは変だと思います。
しかし、特別休暇は法律で決まっているわけではありません。
経営者のお考えでお決めになれば良いのです。