【今月の経営格言】本田宗一郎(本田技研工業株式会社創業者)

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 【今月の経営格言】本田宗一郎(本田技研工業株式会社創業者)
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◆今月の経営格言
 『能率とは、プライベートの生活をエンジョイするために
  時間を酷使することである』
   本田宗一郎(本田技研工業株式会社創業者)
   出所:「本田技研工業株式会社ウェブサイト」
          (本田技研工業株式会社)
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冒頭の言葉は、
「効率化を実現させることで、仕事もプライベートも充実させる
  ことができる」
 
ということを表しています。
独自の技術で二輪車や自動車を手掛け、世界における日本製の
評価を高めた本田氏。世にない製品を作り、人々を喜ばせたい
という本田氏の精神は、本田技研に脈々と受け継がれており、
現在はロボットや飛行機などの分野においても存在感を示して
います。
本田氏は終生人材育成に情熱を注ぎ、組織づくりに成功しました。
本田氏は社員に対して、仕事に向き合う際の考え方を数多く残し
ており、冒頭の言葉もその1つです。この言葉は今風の働き方改革
のような、長時間労働を削減し、プライベートを充実させると
いう、社員に優しい働き方を説いているように思えます。
しかし、この言葉には、仕事にしっかりと取り組むという前提が
あります。「仕事を終わらせた上で、プライベートを充実させて
ください」という厳しさも感じることができます。
とはいえ、「時間を酷使する」ほどの効率化に取り組むのは簡単
なことではありません。効率化を図るためには、仕事について
深く考える必要があります。社員は効率化について考えていない
わけではありませんが、自らの役割を理解し、経営者が求める
レベルで行動できる社員はどれくらいいるでしょうか。
本田技研の場合も、本田氏が満足できるほど仕事を深く理解して
いた社員ばかりではなかったようです。本田氏は仕事に対する
理解が浅い社員に対して、容赦なく叱責したというエピソードが
残っています。本田氏は研究所を見回っては「今、何をやってる
んだ」「昨日話した件、どうなった」と質問し、社員が答えると
すかさず「なぜそうやるんだ」「どうしてそれをやるんだ」と尋ね、
これに答えられないと雷を落としたそうです。研究所は大部屋で
あり、毎日このやり取りが繰り返されるのを社員は目にするので、
自分がいつ質問されてもいいように、仕事の内容を整理し、何の
ためにその課題に取り組んでいるのかを深く考える習慣が根付いた
といわれています。
もう1つ、効率化に取り組む際、経営者は根拠を示して社員に行動を
促すことが大切です。経営者の指示に対して、とにかくがむしゃら
に頑張るという社員や、考えを持っていても、間違いや失敗を恐れ
て行動できない社員がいます。それでは課題を解決することはでき
ません。
こうした社員に対して、本田氏の次の言葉の意味を伝える必要が
あります。
「『根性』というのは、科学的な理論の上に成り立っているんだよ」
経営者は根拠なく、社員に効率化を指示しているわけではなく、
勝算があるからこそ社員に指示しています。しかし、社員は根拠が
あるからこそ指示しているという点や、経営者が何に着目し、根拠
があると考えているのかなどの点に考えが至りません。
そのため、経営者が効率化を図れると判断を下した根拠を示すこと
が大切です。その上で、背中を押せば、社員は頑張り方を理解し、
徐々に自分から行動するようになります。
自ら行動することに楽しさを知った社員は、効率化だけでなく、
積極的に新しい挑戦に踏み出すようになります。こうした各社員の
挑戦が蓄積されることで、組織としても成長することができる
でしょう。
【本文脚注】
本稿は、注記の各種参考文献などを参考に作成しています。本稿
で記載している内容は作成および更新時点で明らかになっている
情報を基にしており、将来にわたって内容の不変性や妥当性を
担保するものではありません。また、本文中では内容に即した
肩書を使用しています。加えて、経歴についても、代表的と思わ
れるもののみを記載し、全てを網羅したものではありません。
【経歴】
ほんだそういちろう(1906 ~1991)。静岡県生まれ。二俣尋常高等
小学校卒。1946年、本田技術研究所(現本田技研工業株式会社。
本稿では「本田技研」)設立。
【参考文献】
「本田技研工業株式会社ウェブサイト」
 (本田技研工業株式会社)
「本田宗一郎からの手紙 現代を生きるきみたちへ」
 (片山修編、PHP研究所、2007年7月)
「得手に帆あげて 本田宗一郎の人生哲学」
 (本田宗一郎、三笠書房、1992年4月)
「本田宗一郎夢を力に 私の履歴書」
 (本田宗一郎、日本経済新聞社、2001年7月)
(中川コメント)
 本日の記事は弊社が有料会員となっている「中小企業福祉事業団」の
ビジネスリポートの記事を転載しました。