【解雇】上司は横領を見逃した場合は解雇できるか

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社長、上司が「あの人はすごい!」といわれるピカイチ情報

労務管理に奇策なし!大企業20年、中小企業13年 人事労務畑一筋で
現場をはいずりまわった人事労務担当者が中小企業経営者のために語る

作者: 中川清徳  2012年7月22日号   VOL.1201
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まず自分で「自分を信じる」ことから

(続きは編集後記で)

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【解雇】上司は横領を見逃した場合は解雇できるか
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中川:こんにちは。

社長:こんにちは。
   金銭横領があったと知り合いの社長から聞きました。
   当社も他人事ではありません。
   金銭横領があった場合どのような対応をすれば良いですか?

中川:事実確認をすることです。
   あいまいな記憶や、推測は極力しないことです。
   事実だけを淡々と確認することです。

社長:どうして推測をしてはダメなのですか?

中川:推測はしてもよいですが、推測が勝手な思い込みになることが
   あるからです。
   金銭横領は犯罪ですから事実確認は厳格でなければなりません。
   推測は証拠とはなりません。
   ただし、朝起きてみると庭一面が雪であれば昨夜は雪が降った
   ことを推測できます。雪が証拠になりますので。このような
   推測はOKです。

社長:で、先ほどの知り合いの社長の話では経理担当が横領をした
   そうです。
   経理担当は即時解雇したそうです。
   その社長がこぼしていたのは上司である経理課長も
   責任をとらせて辞めさせたいということでした。
   そんなことはできるのですか?

中川:監督責任を問いたいのですね。
   状況によります。

社長:どのような場合は辞めさせることができるのですか?

中川:部下の横領を見逃していた場合です。

社長:といいますと?

中川:このような事件がありました。
   ある営業所で部下が数千万円に及ぶ横領したことが発覚し
   ました。
   その上司である所長は経理関係の書類をチェックすれば
   横領を容易に発見できたのです。

社長:どうして所長は経理関係の書類をチェックしなかたのですか?

中川:所長は営業が得意ですが経理関係は苦手でした。
   経理担当者は経験も長いので、任せっぱなしにしていたのです。

社長:経理が苦手であれば横領を見抜けなかったのではないですか?

中川:手口は売掛金を偽造する単純なもので、経理の知識がなくても
   気づく程度でした。

社長:それは所長の責任が重大ですね。

中川:さらに、所長は経理担当者とときどき飲食をしていましたが
   そのつど、経理担当者が所長に1~2万円を出していました。
   所長は受取を拒否しないばかりか精算もしませんでした。

社長:ええ。
   それはおかしいですね。
   普通は所長が払うのでしょう。
   お金の処理についてどう考えているのだろう。

中川:歓送迎会や打ち上げの費用で足りないときは常に経理担当者が
   支払っており、二次会はほとんど経理担当が出していました。
   しかし、経費で落とすというような相談を一度も所長にした
   ことがありませんでした。

社長:経理担当の給料はいくらだったのですか?

中川:20~23万円程度です。

社長:それでは二次会の費用を負担できないでしょう。

中川:そうですよね。
   所長はおかしいと気づくべきです。
   たぶん、うすうす気づいていたのかもしれません。
   でも、しばらくしたらまた転勤があるからと考えたのかも
   しれません。

社長:それは職務怠慢ですね。

中川:そうです。
   それで所長は監督責任不十分ということで懲戒解雇しました。
   懲戒解雇は有効であるとなりました。

社長:そうか、本社より営業所の方が問題が生じやすいのですね。
   早速、次の定例会議の議事とします。

(中川コメント)

 本日の記事は関西フエルトファブリック事件(大阪地裁 平成10年3月23日
を参考にしました。

今日はここまで。では、またあした。

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    編集後記      
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まず自分で「自分を信じる」ことから

 他人があなたを信じてくれるのは、あなたが自分自身を信じているか
らだ。自分自身が信じられなくて、誰があなたを信じてくれるものか。
もし、「自信」が一瞬揺らいで、眉がひそみ目が濁れば、周りの人はあ
なたを避けるであろう。

 その表情は、『旧約聖書」の弟(アベル)殺しのカイン(=アダムとイ
ブの間の長男) の額につけられた罪のマークと同じである。

(1日「ひと粒」の黄金の知恵 森鴎外著 齋藤孝訳 イープレスト刊より)

では、また明日お会いしましょう!!

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