【何もないときに労務負債は償却しておこう】
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労務管理に奇策なし!大企業20年、中小企業13年 人事労務畑一筋で
現場をはいずりまわった人事労務担当者が中小企業経営者のために語る
作者: 中川清徳 2014年5月27日号 VOL.1895
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[ヘンリー・フォードの名言・格言|栄える事業と、衰退する事業の違い]
(続きは編集後記で)
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【何もないときに労務負債は償却しておこう】
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恒例の川越さんのメルマガを全文転載します。
(引用開始)
2014年05月19日(月曜日)08時57分48秒
いつもお読みいただきありがとうございます。
さて、今朝の日経新聞に面白い広告が載ってました。
あなたにとって【社長】とは?という質問に対して
実際の社長の答えです。
どれも含蓄がありますが、中でも「タクトを持って
いないコンダクター」というのに目がとまりました。
経営は思い通りになりそうで、思い通りにならない
ということでしょうか。
思い通りにならないと言えば、経営の中でも労務は
特にそうですね。人には感情があるからです。
一見穏やかそうに見える労使関係が、ある日突然
炎上することもめずらしくありません。
まるで"含み損"のようなものですね。
そこで今回、中小企業が抱え込みやすい労務に関す
る"含み損"についてのお話です。
【何もないときに労務負債は償却しておこう】
人を使っていると、知らず知らずのうちに含み損的な
労務負債を抱え込みやすい。
そして、一旦事が起きると少々の利益は吹っ飛んでしま
うし、場合によっては会社の屋台骨を揺るがしかねない
ことになる。
そうならないためには、まずは自社の労務負債の程度を
知り、問題点を認識したうえで、何もないときから少し
ずつ償却しておくことが重要だ。
1.抱え込みやすい3つの労務負債
労務負債などと言う勘定科目はないし、決算書のどこ
にも出てこないが、一旦事が起きると大きな負担がのし
かかる含み損のようなものだ。
1)未払いの残業代..."未払い"などと人聞きの悪いこ
とを、とも思うがこんなケースでも"未払い"にな
る。
・うちは残業代30時間分打ち切り
・残業計算は基本給のみでやっている
・課長にすれば残業代はいらない
・固定残業代を年間通じて払っているから
・この業界ではどこも払っていない
・営業だから残業代なんて払えない
2)危険極まる長時間労働...月に80時間超えの残業を
させていると、脳・心臓疾患を引き起こした場合、
過労による労災認定をされやすいとされている。
たとえば、毎日始業時刻1時間前に出勤し、終業時
刻後1時間30分残っていれば、月に50時間、これ
に土、日休みのうち土曜日を月4回出勤したら32時
間、合計82時間となる。
3)我流の事務手続き...事務手続きに限ったことではな
いが基本を忠実に守ることは難しいものだ。それに、
なまじっか我流でたまたまうまくいっていると、
我流が本流だと勘違いしてしまう。また、中小企業
では労務関係の事務担当者が変わることが少ないので、
間違いが蓄積していく。
・試用期間中の社会保険、雇用保険未加入
・保険料の控除間違い
・期限過ぎの手続き
2.一旦事が起きると
労務負債は含み損だから、何もなければ実損は出ない。
しかし、一旦事が起きると...。
吉と出るか凶と出るか、まさに"紙一重"である。
1)2年間さかのぼられる残業代...仮に月給20万円、
月に50時間程度残業をしていると、
月額73,500円の残業代となり、2年間だと
1,764,000となる。さらに訴訟にでもなれば、
同じ額の付加金まで請求されかねない。10人いたら
その10倍であり、少々の利益など吹っ飛んでしまう。
2)遺族から「会社に殺された」呼ばわり...長時間労働で
怖いのが「過労死」と「精神障害」の労災認定だ。
自宅で倒れても自殺でも労災認定される場合がある。
もちろん、労働時間だけで判断されるわけではないが、
月80時間超えの残業があると、会社の立場はすこぶ
る悪くなってしまう。ちょうど、飲酒運転があると、
ちょっとしたことでも大ごとになるのと同じだ。
3)ケチがつきやすい法律違反...手続きの間違いというの
は厳しく言えば法律違反だ。法律違反だと一企業とし
て中々反論できないし、そんなとき、往々にして世間
は冷たいものである。もっと怖いのは、我流でいい加
減な手続きをしていると従業員からなめられることだ。
・3か月間加入期間が足りなかったので失業保険がもら
えない
・未加入期間中に交通事故を起こし障害となったが、
入社前にも滞納期間があって障害年金がもらえない
3.だから少しずつでも身軽にしておく
金で片がつくことであれば、どおってことない会社は
いいが、普通の会社なら致命傷になりかねない。
だから、変な労務負債は何もないときに、少しずつでも
償却しておき会社を身軽にしておく。
1)残業は払える範囲でおさめる...いくら成果主義だか
らと言ったところで、法律による賃金支払いは時間
が軸だ。だから、所定労働時間
を超える時間につい
ては、事前に仕事をさせるかどうか会社が吟味する。
黙認も含めて残業をさせたあとでは遅い。自分で払
える分しか買い物ができないのと同じだ。また、賃
金の時効は2年間あることも肝に銘じておく。
2)月の残業時間は45時間以内を死守する...原則とし
て月45時間以内を死守する。今はいろいろな従業員
がいるとは言っても、「●時までには帰ってくれ」
とトップがはっきり宣言すれば、それを無視して居
残る人はそういない。時間無制限で100の成果を上げ
させるよりも、制限時間中に100の成果を上げさせる
ように仕向けることこそがトップの仕事である。
3)当たり前のことを当たり前にしておく...まず、何が
当たり前なのかを理解する。「今までこれでやって
来た」「他社だってこのようにやっている」を一旦
リセットすることが必要だ。当たり前のことを当た
り前にやっておけば、変な従業員は近づかなくなるし、
まっとうな従業員が定着しやすくなる。
含み損と言うのは表面化しない限り実損はない。
しかし、一旦事が起きるとその損害は際限なく拡がり
会社の屋台骨を揺るがす。
だからこそ、何もないときから少しずつでも償却して
身軽にしておきたいものである。
※次回は【退職時のことは入社時に確認・誓約させて
おこう】の予定です。
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(引用終わり)
(中川コメント)
ある会社の入り口にあるガラスのドアに「18時30分までには退社してく
ださい」という張り紙がしてあります。
長時間労働が当たり前の小売系の会社ですが残業が多くても20時間程度
です。業績は同業者を圧倒しています。
長時間労働と会社業績は連動しないかもしれません。
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編集後記
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[ヘンリー・フォードの名言・格言|栄える事業と、衰退する事業の違い]
奉仕を主とする事業は栄る。利得を主とする事業は衰える。
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