【賃金】年休を取得した場合の定額残業代
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労務管理に奇策なし!大企業20年、中小企業13年 人事労務
畑一筋で現場をはいずりまわった人事労務担当者が中小企業
経営者のために語る。
作者: 中川清徳 2015年11月6日号 VOL.2454
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果物と野菜の違いはどこ?
(続きは編集後記で)
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【賃金】年休を取得した場合の定額残業代
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中川:こんにちは。
社長:こんにちは。
定額残業代について相談です。
中川:はい、何でしょうか?
社長:弊社は、月30時間分を定額残業として払っています。
中川:30時間を超える残業をした場合はどうしているのですか?
社長:超えた分は残業代を別に払っています。
中川:そうですか。問題ありませんね。
社長:それは問題ないのですが、Aさんが年休を15日取りました。
その月に出勤したのは5日だけです。
明らかに、30時間の残業をしていません。
定額残業代を払うのは払いすぎです。
したがって、定額残業代を減額したいのですが...。
中川:定額残業代は、年休の支払の対象にしなくてもOKです。
年休を取った場合のその日の賃金は所定内賃金で良いのです。
だから、年休をとったら、定額残業代は払わなくても良いことに
なります。
社長:では、年休をとった日は定額残業代を払わないことにします。
中川:どのような計算をしますか?
社長:20日出勤日のところ、15日の年休を取ったのですから、
15日÷20日×定額残業代として計算します。
中川:それはAさんだけですか?
社長:そう考えています。
年休を取った人は他にもいますが、多くても数日です。
それなら許せます。
Aさんは極端ですから。
中川:今後、年休を何日以上取ったら定額残業代を減額すすることに
するのですか?
社長:えーと、何日がいいかなぁ。
10日以上としたいですね。
中川:では、月に1日のみ年休を取った場合は定額残業の減額はないので
すね?
社長:そうです。
中川:では、年休を使い果たした人が欠勤した場合は、定額残業の減額は?
社長:それも年休と同じです。10日以上の場合は減額します。
中川:欠勤が1日の場合は?
社長:それも年休と一緒です。
減額しません。
中川:10日の根拠はなんですか?
社長:おおよそ、月の半分です。
中川:定額残業代を払っている理由は何ですか?
社長:それ以上仕事をしてもらいたくないからです。
だらだら残業を防ぐためです。
中川:それでだらだら残業はなくなりましたか?
社長:正直、よく分かりません。
30時間を超えたら残業代を払うことにしていますが、
それを払っている人は数人です。
だから、だらだら残業はなくなったかもしれません。
中川:実際は月30時間を超えて残業をしているのに、申告していない可能性
がありませんか?
社長:あるかもしれません。
中川:その場合は賃金未払いとなりますよ。
社長:しかし、申告をしないのですがから、本人は残業と思っていないかも
しれません。
中川:「かも」は憶測です。
事実がどうかが大切です。
年休をとったり、欠勤をしたら固定残業代を減額するということは
固定残業の意味が薄れます。
そうまでして、固定残業代にこだわる理由がありますか?
社長:残業抑制のためです。
中川:逆に、月30時間していない、場合によっては残業ゼロでも
払うことになりますよ。
30時間を超えたら、残業代を払う、しかし、30時時間の残業をして
いない人には30時間分の固定残業が支給されます。
会社は損をしているのではないですか?
社長:うーん。
確かに、以前より残業が減っているので30時間していない従業員も
いるでしょうね。
中川:繰り返しになりますが、そうまでして固定残業にこだわる必要が
ありますか?
社長:そうですね。
見直します。
(中川コメント)
固定残業代を年休や欠勤の日数に応じて減額することは、違法ではありませ
ん。だたし、従来は減額をしていなかったのに急に減額を導入することは不利
益変更となりますので、従業員の同意が必要です。
残業が多すぎる時代は固定残業代は、それなりの役割を果たしていたかも
しれませんが、残業未払いのリスクがある、残業が少なくなっていることを
勘案すると、固定残業を廃止し、残業実払いが現実的だと思います。
弊社は固定残業代は奨励していません。
今日はここまで。では、またあした。
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編集後記
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果物と野菜の違いはどこ?
1.甘いのが果物
2.果物屋で売ってるのが果物
3.木になるのが果物
答えは一応「3」です。
では、「スイカやメロンは野菜なの?」という突っ込みもあるでしょうが、
行政上の分類では、「茎やつるなどの草本性植物」が野菜。「樹木になるも
の」が果物とされています。果物という言葉の語源は「木の物」だといわれ
ています。ここから行政上の分類はきているのではないでしょうか。印象的
にはスイカやメロンは果物ですが、実際、地方自治体の生産量調査等では野
菜に区分されることが少なくありません。
しかし、前述の突っ込みどおり、この定義がかなり曖昧なのも確か。たと
えば、『広辞苑』では、「草木の果実の食用となるもの」が果物で、「生食
または調理しておもに副食用とされる草本作物の総称」が野菜となっていま
すし、全国農業協同組合連合会(JA)では、実だけを食べるのが果物で、植物
のいろいろな部分を食べるのが野菜、と定義しています。
行政の顔を立てるために「3」を正解にしましたが、フルーツトマトの誕
生や、サラダ用のパパイヤが店頭に並ぶようになるなど、果物と野菜の境目
が年々微妙になっているのも確かです。
(つい他人に自慢したくなる無敵の雑学 角川ソフィア文庫より)
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