【通勤費】事務所移転により転居費用を社員から請求された

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社長、上司が「あの人はすごい!」といわれるピカイチ情報

労務管理に奇策なし!大企業20年、中小企業13年 人事労務
畑一筋で現場をはいずりまわった人事労務担当者が中小企業
経営者のために語る。
作者: 中川清徳  2015年12月25日号   VOL.2503
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「ここだけの話」ほど早く広がる

(続きは編集後記で)

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【通勤費】事務所移転により転居費用を社員から請求された
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中川:こんにちは。

社長:こんにちは。
   Aさんについて相談です。

中川:はい、何でしょうか?

社長:弊社は事務所を移転しました。

中川:おめでとうございます。
   ショールームも新設され、垢抜けた事務所ですね。

社長:事務所の見た目も大切な業種ですから。
   Aさんから、事務所移転により通勤時間が30分近く増えたので、
   通勤に便利な場所に転居したいとのことです。

中川:そういう問題も生じるのですね。

社長:それで、Aさんが会社の都合で事務所を移転したのだから、転居費を
   会社で負担して欲しいとの申し入れがありました。
   求人に応募したのは居住地に近かったからだというのです。

中川:もっともな申し出ですね。

社長:申し出に応じなければなりませんかね?

中川:労働契約書に事務所移転の場合の転居費用について記載してあります
   か?

社長:記載してありません。
   そのような申し出があるとは思いもよらなかったです。

中川:就業規則や出張旅費規程などに何か書いてありますか?

社長:そのようなことは書いてありません。

中川:御社の他の従業員の通勤時間はどの程度ですか?

社長:うーん。
   様々ですね。
   Aさんと同じくらいの人は何人かいます。

中川:では、Aさんは我慢できる範囲ですね。

社長:そうですね。
   東京ではもっと通勤時間が長い人もいます。
   Aさんには我慢して欲しいですね。

中川:そうですね。
   法律的にはそうですが、経営面からも検討したらどうですか?

社長:といいますと?

中川:引っ越し費用をどの程度負担するかです。
   引っ越し費用としては
   引越費用
   借家の敷金
   借家の礼金
   などがあります。

社長:自分が勝手に引越をするのですから、引越費用を負担するのは
   どうかと思います。

中川:仮に引越をしない場合は、通勤費が増えますよ。

社長:あ、それは気づきませんでした。

中川:仮に、引越をしないとして通勤手当は1万円くらいは増えるでしょう。
   年間12万円増えますよ。
   10年で120万円ですよ。

社長:そうか、引越をしてもらった方が会社は人件費が減るのですね。

中川:そうです。
   仮に引越費用が14万円かかるとします。
   その半分を会社が負担すると7万円が出費となります。
   しかし、通勤費は年12万円が発生しませんから、一年経ったら5万円の
   得ですよ。
   それ以降は毎年12万円の経費減となります。

社長:なるほど。
   場合によっては引越費用を全額負担してもいいくらいですね。

中川:そうです。

(中川コメント)

 本人が居住を移転するための費用は、会社が負担しないのが一般的です。
ただし、遠隔地への転勤等では社宅の貸与など会社負担するのが一般的です。

 今回の場合は、一年以内に退職する場合は、会社負担の引越費用を返還する
という覚え書きを交わしたらと思料します。また、通勤時間は30分以内の
転居に限定することも必要でしょう。

今日はここまで。では、またあした。

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    編集後記      
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「ここだけの話」ほど早く広がる

「大きな声では言えないのだが、あなたにだけは...」と耳打ちされるのが世
間一般の「秘密漏洩」の最初の呪文である。

 秘密漏洩にきびしい警察国家が、法治国家に替わったとたんに、秘密を守
る人が一人もいなくなったという笑い話があるほど、秘密という言葉が意味
をもたなくなった。

 秘密を漏らす人間には、二種類がある。

 一方の「悪いやつ」は、自分の秘密は厳守するが、他人の秘密は平気で漏
らす。

 もう一方の「愚かなやつ」は、自分の秘密も他人の都密も、見境なく垂れ
流している。ゆめゆめ油断するなかれ。

(1日「ひと粒」の黄金の知恵 森鴎外著 齋藤孝訳 イープレスト刊より)


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