【解雇】解雇予告手当について

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 【解雇】解雇予告手当について
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中川:こんにちは。
社長:こんにちは。
   解雇する場合に何か手当を出さなければならないと聞いています。
   それについて説明をしてください。
中川:退職と解雇の違いは分かりますか?
社長:字が違う!
中川:そりゃあそうですが。
   退職は退職です。
   解雇は解雇です。
社長:それでは説明になっていません。
中川:そうですね。
   退職とは定年や自己都合で会社を退職することを指します。
   解雇は職務能力不足などによる本人が原因か
   人員整理など会社都合で退職させることを指します。
社長:なるほど。
   解雇にも2種類あるのですね。
中川:おおざっぱに言えばそうです。
社長:能力不足ではなく、不正をしたので懲戒解雇をする場合も
   本人が原因ですね。
中川:そうですね。
   で、解雇をする場合は平均賃金の30日分以上を払わなければ
   なりません。
社長:平均賃金とは何ですか?
中川:それ以前の3ヶ月分の賃金(通勤手当、残業手当なども含める)の
   合計額を歴日数で割って1日分を計算します。
   それを30日分乗じたものが解雇予告手当となります。
社長:当社は出勤日数は21日です。
   それでも30日分ですか?
   変ですね。
中川:あのう、先ほど平均は歴日数で計算すると言いました。
   つまり、3ヶ月分の御社の出勤日数ではなく
   暦の日数で割ります。
   したがって、21日出勤で計算するよりは一日の賃金は
   低くなります。
社長:そうなんですか。
   たとえば、1月から3月の場合はどうやって計算するのですか?
中川:歴日数は次のとおりです。
   1月 31日
   2月 28日
   3月 31日
   合計 90日
   たとえば3ヶ月の給料の合計が90万円だったとします。
   90万円÷90日=1万円
   となります。
   したがって、解雇予告手当は
   1万円×30日=30万円となります。
社長:では、解雇する月によって損得が発生しますね。
中川:そうですね。
   でも、一般的には大差はないです。
社長:で、たとえば100万円を横領した従業員を懲戒解雇する場合は
   解雇予告手当は不要ですよね?
中川:払わなければなりません。
社長:はあ?
   それはないでしょう。
   犯罪者ですよ。
中川:でも、法律ではそうなっています。
   どうしても払いたくなければ労基所長の認定を受ける必要が
   あります。
社長:そうですか。
   労基所長の認定を受けるといいのですね。
中川:法律はそうなっていますが、認定をなかなかしてくれないのが
   現実です。
   だから、懲戒解雇をする場合でも解雇予告手当は払うと
   覚悟してください。
社長:では、解雇予告手当で横領した金額の一部に相殺することは
   できますか?
中川:本人にいったん払った上で会社に弁償してもらうように
   してください。
   実務的には目の前で現金を渡して、目の前で弁償として
   戻してもらうのです。
   あとあともめないために確認書に署名捺印をしてもらいましょう。
社長:変な法律ですね。
中川:労働基準法は労働者保護が目的ですから。
(中川コメント)
懲戒解雇でも解雇予告手当として平均賃金の30日以上を払う義務があります。
ただし、次の場合は支払義務がありません。
1.労基所長の認定を受ける場合
  (懲戒解雇のほかに災害による事業継続不能なども含まれます)
2.1ヶ月を超えない日雇い労働者
3.2ヶ月以内の契約で2ヶ月を超えていない場合
4.期間工で4ヶ月以内の契約で4ヶ月を超えない場合
5.試用期間中で14日を超えない場合