【解雇】面接時には宿泊出張OKといったのに従わない

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 【解雇】面接時には宿泊出張OKといったのに従わない
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中川:こんにちは。
社長:こんにちは。
   Aさんについて相談です。
中川:はい、なんでしょうか?
社長:Aさんは入社して2ヶ月目になります。
   仕事の要領も覚えたので宿泊出張を命じました。
   しかし、いやだというのです。
中川:出張に応じない理由は何ですか?
社長:まだ慣れていないからというのです。
中川:Aさん一人で出張ですか?
社長:いいえ、上司と一緒です。
   慣れていないと言うのは言い訳だと思います。
中川:家庭の事情とかあるのでは?
社長:いいえ、独身です。
   介護なども不要です。
中川:採用の時に宿泊出張があると説明しましたか?
社長:当然です。
   頻繁に宿泊出張があると説明をしたら「問題ありません」と
   答えています。
   それで、安心して採用し、出張を命じました。
中川:うーん。
   それで出張命令に応じないのは変ですね。
社長:特段の理由もなしに出張を拒否するのです。
   今は試用期間ですから解雇したいのですが、問題ないでしょうか?
中川:Aさんはまだ社会経験が浅い可能性がありますね。
社長:といいますと?
中川:会社が出張を命じたら応じる義務があることを教育する必要が
   あります。
社長:そんなことをしなければならないのですか。
   会社の命令に従うのは常識でしょう。
   採用面接でも出張があることをOKしているのですし。
中川:そうですね。
   しかし、いきなり解雇をすると訴訟になると負ける可能性が
   あります。
   Aさんに丁寧に仕事の仕方について説明をしましょう。
社長:やれやれ、最近の若者は手がかかりますね。
   教育をしても出張を拒否する場合は?
中川:教育のときに業務命令に従わなければ、服務規律違反として
   懲戒処分の対象になることを説明しましょう。
   就業規則を見せながら説明するのがいいでしょう。
社長:では、それでも出張を拒否する場合は懲戒処分をするのですね。
中川:そうです。
   教育した実績や懲戒処分を書面で残しましょう。
   訴訟された場合の証拠とします。
   試用期間中に雇用を継続するか、解雇するかを見極めましょう。
社長:わかりました。
(中川コメント)
採用時には出張OKと言いながら、いざ出張を命じると拒否するのは
従業員として好ましいものではありません。
経営者としては即刻解雇したい気持ちでしょう。
しかし、いったん採用すると解雇のハードルは高くなります。
それは試用期間といえども同様です。
教育指導をする、懲戒処分をするなどのステップを踏んでも
見込みがなければ試用期間満了で解雇をすることです。
解雇は冷静に行いましょう。
一時的な感情のままに解雇すると、会社は敗訴する可能性があります。