【労務管理】安全配慮義務

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 【労務管理】安全配慮義務
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中川:こんにちは。
社長:こんにちは。
   安全配慮義務とはなんですか?
中川:従業員が安心して働けるようにする義務があるのです。
   それを安全配慮義務といいます。
社長:法律に書いてあるのですか?
中川:労働契約法に書いてあります。
  (労働者の安全への配慮)
   第五条  使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の
       安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮
       をするものとする。
社長:必要な配慮とは具体的になんですか?
中川:たとえば、定期健康診断をしていますね?
社長:はい、実施しています。
中川:なんのためにするのでしょう?
社長:それは、従業員が健康な状態で働けるかを確認するためです。
   確か、法律に書いてありますよね?
中川:そのとおり、定期健康診断は労働安全衛生法で定められていいます。
   したがって、定期健康診断を実施するのは会社の義務です。
社長:労働安全衛生法を守ればよいのですね?
中川:確かに、労働安全衛生法には事細かに定められています。
   それは明文化されていますので安全配慮義務の基準を示している
   といえます。
   しかし、それは最低限のことです。
   それ以外のこともいろいろ配慮する必要があります。
社長:いろいろあると言いますと?
中川:たとえばセクハラです。
   労働安全衛生法ではセクハラについて具体的な条文はありません。
   セクハラは男女雇用機会均等法にその条文があります。
社長:広範囲になるのですね。
中川:そうです。
   労働安全衛生法だけでも大変なボリュームがあり、遵守する
   のが大変です。
   しかし、安全配慮義務はそれにとどまらないのです。
社長:従業員が安心して働く環境を作ることが大切なのですね。
中川:そうです。
   限界がありません。
   大変でしょうが取り組みましょう。
社長:わかりました。
(中川コメント)
安全配慮義務の内容は一律に決まるものではありません。
(川義事件 最高裁三小 昭和59年4.10判決)
安全配慮義務を類型化すると次のようになります。
1.事故・災害のケース
 (1)物的環境を整備する義務
    a 安全施設の整備・点検義務
    b 道具・機器等の安全装備義務
    c 労働者に保安上の装備をさせる義務等
 (2)人的配置を適切に行う義務
    d 安全監視員の配置義務
    e 適任者に機器を使用させる義務
 (3)安全教育・適切な業務指示の義務
    f 安全教育等の義務
    g 適切な業務指示の義務、
    h 事故の予防・予後措置義務
 (4)履行補助者によって適切な整備・運転・操縦等をさせる義務
 (5)安全衛生法令を遵守する義務等
2.職業性疾病のケース
 (1)疾病・死亡の防止段階における措置義務
    有害な化学物質排出の抑制等安全な環境の整備、衛生設備の設置、
    保護具の装着、安全衛生教育の実施、健康診断の実施、作業環境
    の測定、メンタルヘルスケア等
 (2)疾病増悪の回避段階における措置義務
    健康診断の結果の労働者への告知義務、医師の意見の聴取義務、
    軽作業転換義務、労働時間の軽減等の加重負荷抑制義務、
    メンタルヘルスケア等