【賃金】出張は自宅から労働時間が発生するので残業代を払えと言う

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 【賃金】出張は自宅から労働時間が発生するので残業代を払えと言う
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中川:こんにちは。
社長:こんにちは。
   Aさんについて相談です。
中川:はい、何でしょうか?
社長:Aさんは営業です。
   直行直帰することが良くあります。
   直行直帰があった場合、所定内労働時間として処理しています。
中川:出張などと同じ扱いですね。
社長:そうです。
   直行直帰の場合でも明らかに残業になった場合は残業代を
   払っています。
中川:それはそうですね。
社長:ところがAさんが、直行直帰の場合は、自宅から帰宅までが
   労働時間であるはずだから、所定内労働時間として扱うのは
   賃金不払いだというのです。
   その理由は、営業のために自宅を出るときから、帰宅まで
   営業書類を持ち運んでいるからというのです。
   そういう考えもあるのかと驚きました。
   しかし、確かに自宅を出るときには書類を持っています。
   どうしらいいですか?
中川:Aさんは書類を届けるのが仕事ですか?
社長:はあ?
   意味が分かりません。
中川:Aさんは運送会社のように営業の書類をお客に届けるのが
   仕事ですか?
社長:書類を運ぶのが仕事かという質問ですね。
中川:そうです。
社長:書類は営業ツールです。
   書類を届けるだけでは営業失格です。
   書類をもとに説明をして顧客のニーズを引き出し、営業します。
中川:その書類は重要な書類ということはありますか?
社長:そうですね。
   見積書は重要な書類ですね。
中川:なるほど。
   その程度であれば、一般的な範囲ですね。
   結論は出張時の扱いと同じでOKです。
   つまり、自宅から訪問先までは通勤時間です。
   残業代を払う必要はありません。
社長:はい、分かりました。
(中川コメント)
本日の記事は日本インシュアランスサービス事件(平21,2,16 東地裁)
の判決を参考にしました。
自宅を拠点に保険給付の確認作業を行う労働者の移動時間と休日に
おける労働時間をめぐる争いでした。
その中で、自宅を出るときに書類を持参しているので、それが労働時間
になるから残業代を払えと主張しました。
それにたいして、裁判官は、自宅から確認先に移動する時間について、
資料を持ち歩き管理することが義務づけられているとしても
「直ちにこの時聞が労働時間となるものではない」と否定しました。