【労基法】使用者と経営者は同じ?

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 【労基法】使用者と経営者は同じ?
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中川:こんにちは。
社長:こんにちは。
   中川さんの話を聞いていると混乱します。
中川:え?
   何がですか?
社長:経営者といったり事業主と言ったり使用者と言ったりして
   いますよね。
   で、経営者は自分のことだと分かるのですが   
   使用者という場合は経営者だけを指していないような
   気がします。
   気がするだけですが。
中川:ドキ!
   このメルマガはわかりやすさを重視しているので
   用語を厳密に使い分けていません。
   たとえば、残業手当と言っていますが、厳密には
   早出や休日出勤も含めての場合がありますので
      残業手当という言い方は間違いです。
   法律用語としては割増賃金となるのですが、
   残業代の方が分かり易いと思っているからです。
社長:そうですか。
   それはそれでありがたいのですが、法的な使い分けを教えて
   ください。
中川:まず、事業主から説明します。
社長:事業主は私のことでしょう?
中川:個人事業であれば事業主個人となり
   会社の場合は法人そのものです。
社長:へえ、当社は会社組織ですから社長自身ではなく
   会社そのものと言うことですか。
中川:そういうことです。
社長:では、私は会社から使われる労働者ということですか?
中川:そこがややこしいことですが、社長は経営者ですから
   労働者ではありません。
   法律では事業主ではないのです。
   しかし、経営者として従業員を指揮命令していますので
   結果として事業主であるとも言えます。
社長:なんだか難しいことになりましたね。
   使用者はまた違うのですか?
中川:そうです。  
   使用者は労働者を使用する人のことです。
社長:そもそも労働者とは何ですか?
中川:賃金をもらって働く人のことです。
社長:であれば当社は部長も課長も賃金をもらっているのだから
   労働者ということですね?
中川:そうです。
社長:では、使用者とは賃金をもらっていない社長の
   私と言うことになるのですね?
中川:そこがややこしいのです。
   部長は労働者ですが部下にたいして指示命令をしてます。
   つまり使用者なのです。
社長:あのう、言っていることがよく分かりません。
中川:そうでしょうね。
   説明している中川がクラクラしています。
   ややこしい理由は使用者は相対的な関係に
   あるからです。
社長:相対的な関係にあるといいますと?
中川:労基法の使用者は事業主の他に事業主のための行為を
   する人も含まれます。
   つまり、部長や課長は部下を指揮命令しています。
   これは事業主のための行為ですから使用者となるのです。
社長:では、主任や係長も使用者ですか?
中川:部長とか主任とかの名称で決めるものではありません。
   実際に経営に関する権限と責任を負って指揮命令したり
   業務を遂行する人のことです。
   一般的には主任や係長は権限と責任はないとした
   ものです。
   でも、仕事によっては日常の行為で使用者とされる場合も
   あります。
社長:要するにどういう人が使用者なのですか?(イライラ)
中川:仕事で権限と責任を持っていればその行為については
   使用者となります。
   たとえば、社会保険労務士は従業員ではありませんが
   労基法に基づく申請をすると使用者ということになり 
   その部分については使用者責任が問われます。
社長:結論は
   事業主とは会社そのもの。
   使用者とは責任と権限を持って行ったものというとですね?
   肩書きは無関係。
中川:ピンポーン!
社長:ああ疲れた。
   聞かなきゃ良かった。
   
(中川コメント)
使用者とは事業主だけではありません。
会社のために権限と責任を持って行うものはその行為に対しては
使用者となります。
したがって、工場長、部長、課長など比較的地位の高い人から
現場のリーダー、現場責任者など比較的地位の低い人まで
使用者となることがあります。
このメルマガは事業主、使用者の使い分けを厳密にしていません。
ご容赦ください。
特別に使い分けをする場合はその旨を明示します。