【残業】みなし労働時間制

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 【残業】みなし労働時間制
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中川:こんにちは。
社長:こんにちは。
   みなし労働時間制というのがあるそうですね。
中川:はい、あります。
   これは営業や記事の取材等で会社の外で仕事をする場合は
   労働時間を所定労働時間とみなすことです。
社長:当社の所定労働時間は8時間です。
   営業は8時間を超えて仕事をしています。
   それでも、営業であれば残業代を払わなくてもOKという
   ことですか?
中川:違います。
   営業などは管理者の具体的な指示が及びません。
   そして、労働時間の把握が困難な場合に所定労働時間と
   みなすことです。
   昔の法律はそうなっていたのですが、実際は慢性的な
   残業になっている人もいます。
社長:まさに当社の営業がそうです。
中川:それで、たとえば月30時間くらいの残業があるのであれば
   30時間の残業代を払うことが必要です。
   実務的には定額の残業代を払うことになりますね。
社長:そうですか。
   でも、実際は30時間未満の場合もあれば30時間を
   超える場合もあります。
   そんな場合でもで30時間分を払うのですか?
中川:あのう。
   前提条件を勘違いされているようですね。
   労働時間の把握が困難な場合です。
   本人に指示を与えていませんから把握できないのです。
   だから、30時間を超えたかどうかもわかりません。
社長:???
   言っている意味がわかりません。
中川:営業の方は帰社されますか?
社長:はい、営業が終了したら帰社して残務事務をします。
中川:そのような場合は労働時間を把握できますので
   見なし労働時間制は適用できません。
社長:でも、昼間は外で仕事をしていますので
   さぼっているかもしれません。
   だから、残務事務をするからそれを残業として
   払えというのは抵抗があります。
中川:どうしてさばっていると断言できるのですか?
社長:うーん。
   営業はそうしたものですよ。
中川:社長のおっしゃりたいことは分かりますが、
   さぼるさぼらないは管理の問題です。
   残業代は法律に基づき払わなければなりません。
社長:では、当社はみなし労働時間制を導入できませんね。
   導入している会社があるのですか?
中川:あります。
   ある会社では営業は直行直帰(会社に出社しないで
   勤務すること)させています。
   このような場合は労働時間の把握が困難です。
社長:ということは当社も直行直帰にすれば
   見なし労働時間制を導入できますか?
中川:はい、できます。
   ただし、定額残業代を払うのであれば労使協定書を
   労基署に提出しなければなりません。
社長:役員会で検討します。
中川:そのときの注意点ですが、直行直帰が長期間続くと
   帰属意識が薄れ退職することが多くなります。
   人とのつながりを強める対策をしておきましょう。
社長:分かりました。
(中川コメント)
みなし労働時間制とは営業や記事取材など事業場外で
労働をするため使用者の具体的な指示が及ばず
労働時間の算定が困難な業務に適用できます。
所定労働時間内であれば労使協定の締結は不要です。
所定労時間を超えて残業になっている場合は
その必要な残業時間を含めて見なし労働時間とすることが可能です。
その場合は労使協定を締結して労基署に届出が必要です。