【求人】求人票の書き方のリスク

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 【求人】求人票の書き方のリスク
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平成29年7月7日に厚生労働省から、平成28年度のハローワーク
における求人票の記載内容と実際の労働条件の相違に係る申出
等の件数が発表されました。
それによると、申出・苦情等の総件数は9,299件となっており、
その要因の約4割(3,608件)が「求人票の内容が実際と異なる」
というものになっています。
このような申出等があった場合、ハローワークでは、迅速な
事実確認、必要な是正指導などの対応を行っており、具体的に
「求人票の内容が実際と異なる」場合の対応状況は、以下の
通りになっています。
・職業紹介の一時保留 ... 330件(9%)
・求人取消 ... 311件(9%)
・求人票の内容を変更 ... 982件(27%)
・求人票に合わせ労働条件等を変更 196 件(5%)
・その他(求人票が無効 等)1,789件(50%)
記載の間違いか、はたまた虚偽の記載なのか、今回発表された
情報では分かり兼ねますが、もし相違がある募集で採用を行った
場合には、どのように判断されるのでしょうか。
一般的に、事業主(求人者)がハローワーク等で行う労働者の
募集は、働こうとする者(求職者)の応募行為を誘うという
事実上の行為となります。法律上では申込みの誘引に過ぎず、
これに対する求職者の応募行為が、契約の申込みであると考え
られています。
そのため、ハローワークの求人票や、求人広告・就職情報誌等
に書かれた賃金や労働時間などの労働条件が直ちに実際の労働
契約の内容になるわけではありません。
しかし、求人者と求職者の間において、採用前の面接や入社時
の話し合いで、募集内容の変更を合意したと認められる特段の
事情がなければ、求人票の内容は労働契約の内容となります。
募集条件と実際の労働条件が異なる場合の事例として、「求人票
には雇用形態が期間の定めのないものとして記載されていたが、
期間満了による雇止めがあった」として会社が訴えられた裁判
では、雇止めは無効とされているものもあり、募集の内容と労働
条件が異なる場合には注意が必要です。
なお、今年の通常国会で以下のように職業安定法が改正されまし
たが、平成30年1月1日施行の内容は、募集の際に大きく影響して
きます。
【平成29年4月1日から施行】
 ・ハローワークでも、職業紹介事業者に関する情報を提供する。
【平成30年1月1日から施行】
 ・職業紹介事業者に紹介実績等の情報提供を義務付ける。
 ・求人者について、虚偽の求人申込みを罰則の対象とする。
  また、勧告(従わない場合は公表)など指導監督の規定を
  整備する。
 ・募集情報等提供事業について、募集情報の適正化等のために
  講ずべき措置を指針(大臣告示)で定めることとするとともに、
  指導監督の規定を整備する。
 ・求人者・募集者について、採用時の条件があらかじめ示した
  条件と異なる場合等に、その内容を求職者に明示することを
  義務付ける。
【交付から3年以内に施行】
 ・ハローワークや職業紹介事業者等の全ての求人を対象に、
  一定の労働関係法令違反を繰り返す求人者等の求人を受理
  しないことを可能とする。
本改正点も踏まえながら、今一度自社の採用にまつわる体制が
法律に適っているか、確認してみると良いでしょう。