【懲戒解雇】どんな場合にOKか?

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皮切(かわきり) なぜ手始めのことを皮を切るというのか
(続きは編集後記で)
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 【懲戒解雇】どんな場合にOKか?
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中川 こんにちは。
社長 はい、こんにちは。
   懲戒解雇はどんな場合にできるのですか?
中川:就業規則に書かれていることが前提です。
社長:といいますと?
中川:懲戒処分(懲戒解雇を含む)をする場合は、就業規則に
   その根拠が必要となりました。
社長:といいますと?
中川:たとえば「遅刻をしたら減給処分する」というように書かれている
   ことです。
   単に「けしからんやつは減給する」書かれている就業規則では
   減給処分することができません。
社長:「けしからんやつは減給する」と就業規則に書いてあるのですか?
中川:そのような表現をしている就業規則は見たことがありません。
   話を分かり易くするために言っただけです。
   言いたいことは抽象的は表現をしている就業規則では
   懲戒処分をすることができなくないと言うことです。
社長:では、当社の就業規則も見直しが必要ですね。
中川:そうですね。
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社長:懲戒解雇をする場合には就業規則にちゃんと書かれていないと
   ダメなことは分かりました。
   
中川:日本では懲戒解雇がOKになるのはとても条件が厳しいです。
社長:どうしてですか?
中川:裁判例からです。
   裁判例では会社の管理責任が問われるので懲戒解雇をするのは
   厳しすぎるという判決が出ることが多いですね。
社長:たとえばどんな判決がありますか?
中川:運送会社でドライバーが過失により会社に損害を与えたと
   いうことで懲戒解雇をしましたが、懲戒解雇は無効と
   いう判決です。
社長:本人の過失でもダメなのですか?
中川:この会社の場合は本人の他に他の従業員も事故を多発させて
   いました。
   これは会社の運行計画にムリがあり過労や睡眠不足の
   状態だった。
社長:だから、会社にも管理責任があるということですか。
   うーん。
   懲戒解雇が有効になった例がありますか?
中川:営業所長が部下の横領行為を簡単に知り得たはずなので 
   重大な過失だということで懲戒解雇は有効でした。
社長:え!
   本人が横領したのではないですよね?
中川:そうです。
   部下の横領に気づかないのはおかしい。
   気づかないのは職務怠慢だということになりました。
   営業所長は部下と一緒に飲食をして、部下にその
   代金を払わせていたのです。
社長:それは異常ですね。
   営業所長は知っていた可能がありますね。
中川:裁判所はそこまでは断定していませんが、
   その営業所長になってから横領額が増えたのですから
   心証はよくないですよね。
社長:そうですか。
中川:懲戒解雇はすべき時はすべきですが、安易にすると
   会社が不利になることがあります。
   できれば諭旨解雇(退職願を提出させて自主退職を
   促すこと)にとどめるのがよいです。
(中川コメント)
今日はヤマヨ運送事件(大阪地裁 平11.3.12)と
関西フェルトファブリック事件(大阪地裁 平8.3.15)を参考にしました。
懲戒解雇はできるだけ避け、自主退職させるのがいいでしょう。
  
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    編集後記      
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皮切(かわきり) なぜ手始めのことを皮を切るというのか
一連の行為の手始め、最初のことを「皮切」という。
その「皮」は人間の皮(皮膚)のことである。
ではなぜ人間の皮を切るのか。
人間の皮とはいっても、「皮切」は刃物などで皮を切ることをいったもの
ではない。
江戸川柳に「皮切は女に見せる顔でなし」というのがある。
それはお灸をすえている男のさまを詠んだものである。
お灸はもぐさを皮膚の上に置いて焼き、その熱で病気を治療する。
やいとともいうが、お灸は熱い。とりわけ最初にすえるお灸は熱くて
たまらず、それこそ皮(皮膚)を切られるような思いを味わう。
そこで最初にすえる灸のことを「皮切」といった。
ものごとのし始め、手始めという意味はそれが転用されたものである。
(親を切ると書いてなぜ「親切」 北嶋廣俊敏著より)
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