◆今月の経営格言 出雲充(株式会社ユーグレナ代表取締役社長)

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労務管理に奇策なし!大企業20年、中小企業13年
人事労務畑一筋で現場をはいずりまわった人事労務担当者が
中小企業経営者のために語る

発行者: 中川清徳  2022年3月15日 VOL.5164
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人間は他人の名前など一向に気にとめない

(続きは編集後記で)

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◆今月の経営格言 出雲充(株式会社ユーグレナ代表取締役社長)
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◆今月の経営格言

「安全圏に身を置きながら、本気で何事かに取り組む
ことはできない」

出雲充(株式会社ユーグレナ代表取締役社長)

出所:「僕はミドリムシで世界を救うことに決めました。
東大発バイオベンチャー『ユーグレナ』の
とてつもない挑戦」
(ダイヤモンド社)

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冒頭の言葉は、

「リスクを取り、自身をあえて厳しい状況に置くことで、不退
転の覚悟で挑戦する勇気が湧く」

ということを表しています。

かねてより南北問題(発展途上国と先進国の間の経済格差に関
する問題)に関心を持っていた出雲氏は、農業を通じた支援を
したいと思い、農業に関する知識を身に付けるべく、東京大学
の文科三類から理系の農学部に転身しました。

出雲氏がタンパク質やミネラルなどの栄養素が豊富な食べ物を
探していた折、ミドリムシの存在を知ります。ミドリムシは、
体内の葉緑素で光合成を行い、自力で移動できる植物と動物の
両方の性能を持つ単細胞生物です。出雲氏は、植物性と動物性
の栄養素を備えたミドリムシを食用として活用できれば、世界
の飢餓を救えるかもしれないと思い、ミドリムシをテーマにした
ビジネスを始めようと考えたのです。しかし、当時、ミドリムシ
を大量に培養することは非常に困難で、あまり研究は進んでい
ませんでした。そこで、出雲氏はパートナーにミドリムシの研究
や技術面は任せ、将来の起業を想定し、大手都市銀行に就職し
ました。

そして、日々の業務を通じてビジネスにおけるお金の働きを学び
つつ、ミドリムシをテーマにしたビジネスの事業化について考え
る日々を送っていました。しかし、日々の業務を続けていくうち
に、仕事の面白さを覚え、ミドリムシをテーマにしたビジネスを
諦めることが頭をよぎるようになっていきました。出雲氏は、
経済的にも恵まれた大手都市銀行を辞めて、成功するかどうかも
分からない道を選ぶことにためらいを覚えるようになったのです。

逡巡する出雲氏は、年上の知人に意見を求めることにしました。
すると、知人は「夢を持っているのなら、それを諦めるべきでは
ない」とアドバイスしてくれました。これをきっかけに、出雲氏
は夢を諦めないことを誓い、入行後1年で大手都市銀行を辞める
ことを決意したのです。

大手都市銀行を辞めた後、出雲氏はベンチャー企業に身を置いて
経営を学びつつ、寝食を忘れて日々創業の準備に打ち込みました。
その後、資金面で協力してくれるスポンサーを獲得し、2005年に
ユーグレナを設立しました。そして、同年の末にはついにミドリ
ムシの培養に成功しました。

2012年、ユーグレナは東京証券取引所市場マザーズへの上場を
果たしました。現在、ミドリムシは食品だけにとどまらず、燃料
や飼料などさまざまな分野での活用が期待されています。

ミドリムシの夢を追いかけ、自らエリートコースを外れたとき
のことを、出雲氏は新幹線で東京駅から新大阪駅へ向かう旅行
を例にして次のように例えています。

「新横浜で途中下車 ― 本気で挑戦するためにリスクを取る」

出雲氏は退路を断って、自らを厳しい状況に置いたことを、乗車
していれば安全かつ快適に目的地まで到着できたにもかかわらず、
東京駅のすぐ近くの新横浜駅で途中下車することに例えています。
自分が安全なところにいれば、どんなに本気で取り組んだつもり
でも、つい「甘え」が出てしまう恐れがあります。出雲氏は、
「退路を断つ」というリスクを取ることで、成功しなくてはなら
ない状況に自分自身を置いたのです。

「リスクは、できれば避けるべき」という考えは決して誤りでは
ありません。しかし、時にはリスクを取ることで、より大きな成
功を得られることもあります。重大な決断に際し、あえてリスク
を取ることを恐れない強い意志も、ビジネスにおいては必要だと
いえるでしょう。

【本文脚注】
本稿は、注記の各種参考文献などを参考に作成しています。本
稿で記載している内容は作成および更新時点で明らかになって
いる情報を基にしており、将来にわたって内容の不変性や妥当
性を担保するものではありません。また、本文中では内容に即
した肩書を使用しています。加えて、経歴についても、代表的
と思われるもののみを記載し、全てを網羅したものではありま
せん。

【経歴】
いずもみつる(1980~)。
広島県生まれ。東京大学卒。
2002年、株式会社東京三菱銀行(現株式会社三菱UFJ銀行)入行。
2005年、株式会社ユーグレナ(本稿では「ユーグレナ」)設立。

【参考文献】
「僕はミドリムシで世界を救うことに決めました。
東大発バイオベンチャー『ユーグレナ』のとてつもない挑戦」
(出雲充、ダイヤモンド社、2012年12月)
「『東大に入る』ということ『東大を出る』ということ」
(中島敏、平林慶史、出雲充、プレジデント社、2003年12月)
「株式会社ユーグレナウェブサイト」(株式会社ユーグレナ)

(中川コメント)
本日の記事は弊社が有料会員となっている「中小企業福祉事業
団」が提供する情報を転載しました。

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編集後記
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人間は他人の名前など一向に気にとめない

人間は他人の名前など一向に気にとめないが、自分の名前となると
大いに関心を持つもの。
自分の名前を覚えていて、それを呼んでくれるということは、
まことに気持のいいもので、つまらぬお世辞よりもよほど効果が
ある。

逆に、相手の名を忘れたり、まちがえて書いたりすると、やっかい
なことがおこる。
例をあげると、私は、かつてパリーで弁論術の講習会を開いた
ことがある。在留米人に謄写版刷りの案内状を出したが、
英語の素養のないフランス人のタイビストに宛名を書かせたのが
失敗だった。
あるアメリカの大銀行のパリー支店長から、名前の綴りがちがって
いると、たいへんな抗議をうけた。

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