【割増賃金】休日日数を増やすと...

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 【割増賃金】休日日数を増やすと...
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中川:こんにちは。
社長:こんにちは。
   当社は来年度30周年を迎えます。
中川:それはおめでうございます。
社長:感慨深いものがあります。
   それで、これを機会に創業記念日を設けたいと思っています。
   何か、気をつけなければならないことがありますか?
中川:そうですか。
   従業員も休日が増えるので喜ぶでしょう。
   今、休日日数は何日でしたっけ?
社長:今は年間105日です。
   一日の労働時間は8時間ですから労働基準法どおりです。
中川:そうですか。
   気をつけなければならないのは残業単価です。
   残業単価が上がります。
   それがいくらになるか計算されましたか?
社長:え?
   どうして残業単価が上がるのですか?
中川:現在の所定労働時間は173.3時間です。
   だから、それを分母にして残業単価を算出しています。
   一日増やすと、172.6時間が所定労働時間となります。
   注:173.3時間=(365日-105日)×8時間÷12ヶ月
     172.6時間=(365日-106日)×8時間÷12ヶ月
社長:そうすると残業単価があがるのですか。
   具体的な事例で説明してもらえませんか。
中川:たとえば、所定内賃金が20万円の人で計算しましょう。
   休日105日の場合は残業単価が1443円(20万円÷173.3時間×1.25)
   となります。
   休日を一日増やした場合は
   残業単価が1448円(20万円÷172.6時間×1.25)となります。
   つまり、5円(1448円-1443円)上がります。
社長:へえ、それは気づきませんでした。
   でも、たいした金額ではないから休日を増やしても良いと考えます。
中川:休日日数の増がどの程度人件費に跳ね返るかを計算すべきです。
   その上で経営判断をすべきですよ。
社長:どうのようにして計算するのですか?
中川:概算計算をしてみましょう。
   御社の所定内賃金が平均25万円とします。
   そして残業対象者が50人ですから次のような計算になります。
   人件費アップ額=25万円÷173.3時間×1.25×50人×30時間(残業)
           ×0.004
          =10,819円(月額)
   となります。
   注:0.004=単価アップ率=173.3時間÷172.6時間
社長:ということは年間129,828円(10,819円×12ヶ月)ですね。
   これくらいは何とかなります。
中川:それだけではありません。
   残業代が増えると社会保険料(健保、厚年)や労働保険料
   (労災、雇用)も増えます。
   各社によって違いますが最低でも1.15倍になります。
   つまり、129,828円×1.15=149,302円となります。
社長:それくらは何とかなります。
中川:それから休日日数を1日増やしたのでその分、残業が増えたとします。
社長:え、それはないでしょう。
中川:休日増を検討するときは計算すべきです。
社長:で、どういう計算をするのですか?
中川:25万円÷172.6時間×1.25×50人×8時間×12ヶ月=約108万円
   となります。
   先ほどの残業単価アップ分の149千円を加えると
   約123万円(108万円+14.9万円)となります。
社長:結構な金額になりますね。
   
中川:経営は継続するものです。
   単年度だけであれば深く考えることもないでしょう。
   しかし、10年経つと累計で1230万円の人件費増ですよ。
   その分、経常利益が減るのです。
   自己資本の蓄積も減りますよ。
社長:うーん。
   今は問題ありませんが10年先まで言われると...。
中川:せっかくの30周年記念です。
   会社の創業日を休日にすることは意義があります。
   特別休暇として来年度限りとしたら?
社長:あ、そうですね。
   まだ時間がありますから休日増について検討します。
(中川コメント)
1円はたいした金額ではないと軽視すべきではありません。
1円のアップは残業単価アップ、社会保険料アップ、労働保険アップに
つながります。
休日増は大きな人件費アップです。
年間労働時間が減る休日の増加は慎重にすべきです。
ランチェスターの法則によりますと
ライバルとの戦いは労働時間の投入量の多寡で決まります。