【経営】目標と手段を間違えない

◆────────────────────────────────◆
 【経営】目標と手段を間違えない
◆────────────────────────────────◆
中川:こんにちは。
社長:こんにちは。
   何かためになる話はないですか?
中川:そうですね。
   目標と手段を混同しないという話があります。
社長:目標と手段ねぇ。
   どういうことですか?
中川:社長は経営計画を立てますよね?
社長:もちろんです。
中川:その計画は売上がいくら、利益がいくらとなっていませんか?
社長:それが経営計画でしょう。
   利益がなければ会社は倒産しますから、売上、利益は
   重要です。
中川:そのとおりです。
   しかし、売上を上げること、利益を上げることが目標ですか?
社長:それが目標ですよ。
   でも、質問をするところから売上、利益は目標では
   ないと言いたいのですか?
中川:はい、売上、利益は手段なのです。
社長:では、目標とは何ですか?
中川:目標は「いい会社を作ろう」です。
   結果として売上利益が上がると言うことです。
社長:難しいことをいいますね。
   わかりやすく説明をしてもらえませんか?
中川:たとえば子供の目標は何でしょうか?
社長:それは立派な大人になって世の中の役に立つことでしょう。
中川:そうですよね。
   で、子供の成長を期待し、育てます。
   どんなときに子供が成長したと感じますかね?
社長:うーん。
   身長が伸びたとき。
   体重が増えたとき。
   学年があがったとき。
   学校を卒業したとき。
中川:いろいろありますね。
   身長が伸びた、体重が増えたと言うことは数字で把握できます。
   とてもわかりやすい尺度ですね。
社長:そうですね。
   学校の学年があがったというものわかりやすいですね。
中川:で、身長が伸びたとか体重が増えたとかは結果ですよね?
社長:そうですね。
中川:身長や体重は目標ではありませんよね?
   身長や体重を目標にするとおかしくなると思いませんか?
社長:おかしくなりますかね?
中川:体重を増やすためには過食をすればいいですね。
   身長を伸ばすを目標にすればムリに体を引っ張るとか
   鉄棒に過剰にぶら下がるとか。
社長:それでは体を壊しますね。
中川:だから身長や体重を目標にすべきではないのです。
   立派な大人になるために勉強をし運動をし、
   友達つきあいをしながら社会性を身につけることになります。
   結果的に、身長が伸び、体重が増え、学年が上がっていく。
社長:うーん。
中川:数字はわかりやすいです。
   だから、結果を把握するためにはとても良いのです。
   しかし、それを目標にしてはいけない。
社長:なんとなくわかりました。
   経営の売上や利益は結果であってそれを
   目標にしてはいけないと言うことですね?
中川:はい、そういうことです。
社長:では、会社の目標は何にすればいいのですか?
中川:いい会社を作ることです。
社長:はあ。
   いい会社といわれても。
中川:いい会社とはどんな会社かは社長が考えなければ
   なりません。
社長:なにか事例はありませんか?
中川:会社の職場環境がとても悪く従業員の定着が悪かったのです。
   それで、働く人が気持ちよく働いてもらうために
   設備投資をしました。
   その結果、従業員が喜ぶのです。
   たとえばこれがいい会社にする例です。
社長:でも設備投資をしたら利益が減るではありませんか。
中川:そうです。
   利益を目標にしたら従業員が苦労しても見過ごすでしょう。
   しかし、いい会社を作ることを目標にしたら
   従業員の苦労は見逃せないでしょう。
   利益は二の次になります。
社長:それは分かりますが会社は儲けなければなりません。
   会社が倒産したら社員も失業します。
   そんなきれい事では経営者できませんよ。
中川:そうですね。
   実は、売上や利益を経営計画に一度も書いたことがないのに
   48期連続増収増益(2009年時点)の会社があります。
社長:えーー!
   信じられない!
   どこの会社ですか?
中川:伊那食品工業(長野県)です。
   従業員650人の会社です。
   家内工業からスタートした会社です。
社長:へえ。
   どうして48期連続で増収増益ですか?
中川:目標と手段を間違えなかったからです。
   この会社は社員が出勤前の30分から掃除をすることでも有名です。
   目標はいい会社を作ろうですから、庭の手入れもちゃんとする。
社長:何を作っている会社ですか?
中川:寒天です。
社長:また地味な商品を作っているのですね。
中川:今は倒産しましたが全国展開をしている大手スーパーから
   寒天の販売の話が舞い込んできたそうです。
   営業は大型受注ができると沸き立ったそうです。
   しかし、社長は断ったのです。
社長:え?
   生産が追いつかないからですか?
中川:工場を増設すれば対応できます。
   断ったのは、そのスーパーの経営者の考えがキライだったから。
社長:なんともったいない。
中川:伊那食品工業の目標はいい会社を作ることであり
   売上や利益が目標ではなかったから断ることができたのです。
   もし、売上、利益を目標にしていたら飛びついた商談です。
社長:うーん。
   結果的には良かったですね。
   大型設備投資をした矢先にその会社が倒産したら
   伊那食品工業も危なかったでしょうね。
   なるほど。
   目標と手段を混同しないか。
中川:伊那食品工業も利益は大事だと考えています。
   でも、それは結果だと。
   その結果、48期連続増収増益です。
   単なるラッキーではない証拠です。
(中川コメント)
伊那食品工業の専務の講演をもとに作成しました。
関心のある方
は下記にアクセスを。ご参考までに。
「いい会社とつくりましょう」 塚越寛著
http://www.amazon.co.jp/%E3%81%84%E3%81%84%E4%BC%9A%E7%A4%BE%E3%82%92%E3%81%A4%E3%81%8F%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%97%E3%82%87%E3%81%86%E3%80%82-%E5%A1%9A%E8%B6%8A-%E5%AF%9B/dp/4990085876/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1293680851&sr=8-1