【今月の経営格言】 松本清(株式会社マツモトキヨシ創業者)

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発行:中川式賃金研究所 中川清徳  2019年9月21日号   VOL.4259
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工程管理のミス撲滅には、マイマニュアルを
(続きは編集後記で)
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 【今月の経営格言】 松本清(株式会社マツモトキヨシ創業者)
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◆今月の経営格言
 『百年考えても、千年考えても、考えてるだけじゃなにも進歩
  しない』
   松本清(株式会社マツモトキヨシ創業者)
   出所:「いい言葉は、いい仕事をつくる 成功する人は
      いつも気高い『言葉の灯』をともしている」
     (PHP研究所)
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冒頭の言葉は、
「思いついたアイデアは、実際に行動に移すことが最も重要で
 ある」
ということを表しています。
薬局を開業した後、町会議員や県会議員の職を務めていた松本氏
は、1969年には千葉県の松戸市長に就任しました。
当時、松戸市は市職員の横領事件が起きた直後であり、市役所
に対する市民の不信感が高まっていました。こうした中、市長
に就任した松本氏は、まず市職員に市民を「お客様」と呼ばせ、
「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」といった
接客用語を用いるよう指導しました。松本氏は「市役所は市民
に対するサービスの場である」と考え、小売業の原則を行政に
も用いることで、サービスの基本を徹底させようとしたのです。
当初、市職員の間にはこうした取り組みに対する反発もありま
したが、松本氏の根気強い指導の結果、やがて市職員の意識は
変わり、市役所に対する市民のイメージも大きく向上しました。
さらに、松本氏は、市長である自分に書類が回ってくるまでに
担当者の印鑑が20個近くも押されていたことを知って非常に
驚きました。市役所は縦割りの組織であるため、案件は、さま
ざまな部署を経てしかるべき手順を経た上で決裁されます。
しかし、このような状態では決裁までに時間がかかり、また
押印した個人の責任感も薄れてしまいます。
こうした「お役所仕事」改善の一環として、松本氏は「すぐ
やる課」という新しい部署の設置を思いつきました。当時、
松戸市は人口が急増していましたが、道路や上下水道などの
整備が追いつかず、市民の生活にはさまざまな不便がみられ
ました。松本氏は、こうした状況を憂慮し、「すぐやる課」の
設置を市議会に提案しました。「すぐやる課」は、市民の要望
に迅速に対応することを目的とし「枠を決めずに柔軟な予算を
確保する」「市民が担当部署の間をタライ回しにされることが
ないよう、決裁は市長直結とする」など、これまでの市役所の
組織にはなかった画期的な組織です。
こうして、1969年、すぐやる課が誕生しました。すぐやる課は、
設置された初日から市民の間で大きな反響を呼びました。同課
の誕生は全国でも話題となり、その後、多くの自治体で同様の
サービスが行われることとなりました。
松本氏は、常に実行を重視し、次のように述べています。
「誰にでもアイデアはある。それを実行するかしないかだけだ」
松本氏が最初に部長会議ですぐやる課の構想を話した際、
「『すぐやる課』などというくだけた名前は常識外だ」
「そのような部署の設立は、市役所の原則を根底から覆すので
認められない」など、あらゆる部署から猛反対されました。
しかし、松本氏はこうした反発に屈せず、すぐやる課の重要性
を訴え続けました。松本氏は、市民の要望に迅速に対応する
ことこそが、市が抱えている問題を解決すると確信していたの
です。そして、松本氏が確信した通り、すぐやる課は市民から
大きな支持を得ることとなりました。
素晴らしいアイデアを思いつくことはもちろん重要です。しかし、
もっと重要なのは、それを実行することです。どんなに素晴ら
しいアイデアであっても、実行されなくては絵に描いた餅に過ぎ
ません。ひとたび思いついたアイデアを、何が何でも実行すると
いう強い決意を持ち、1人でできないことは周囲を巻き込んで
実行することが、大きな成功につながるのです。
【本文脚注】
本稿は、注記の各種参考文献などを参考に作成しています。本稿
で記載している内容は作成および更新時点で明らかになっている
情報を基にしており、将来にわたって内容の不変性や妥当性を
担保するものではありません。また、本文中では内容に即した
肩書を使用しています。加えて、経歴についても、代表的と思わ
れるもののみを記載し、全てを網羅したものではありません。
【経歴】
まつもときよし(1909~1973)。千葉県生まれ。星製薬商業
学校(現星薬科大学)卒。1932年、松本薬舗開業。1954年、
有限会
社マツモトキヨシ薬店(現株式会社マツモトキヨシ)
設立。
【参考文献】 
「いい言葉は、いい仕事をつくる 成功する人はいつも気高い
『言葉の灯』をともしている」
 (岬龍一郎、PHP研究所、2007年8月)
「すぐやる課をつくった男 マツモトキヨシ伝」
 (樹林ゆう子、小学館、1996年7月)
「私がマツモトキヨシです。」
 (松本かづな、サンマーク出版、1998年9月)
(中川コメント)
本日の記事は弊社が有料会員となっている「中小企業福祉事業団」の
ビジネスリポートの記事を転載しました。
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    ご質問、ご感想、ご意見をお待ちしています      
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なお、必ずしも回答するとは限らないことをご承知ください。
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    編集後記      
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工程管理のミス撲滅には、マイマニュアルを
マニュアルは基本的に情報を共有するためのものですが、ここであえて、
自分の仕事をマニュアルにしてみることをオススメします。
もちろんこれは、誰かに伝えるためではなく、自分の中で仕事を管理する
ためです。
たとえば、何かの生産ラインを管理しているとすれば、まず何から手をつ
けて、誰に連絡をして、誰に報告をして、何を手配して...というのを、
マニュアルにしていくのです。
すると、どうすればミスなくその生産ラインを管理できるのかを可視化で
きるばかりでなく、「正しいけれどもわかりにくい」手順に気づくことが
できるでしょう。結果として、コストや手間を最小限に抑え、無駄もミス
もない仕事が実現できます。
仕事における「正しいけれどもわかりにくい」というのは、だいたいにお
いて失敗の起きやすい手順です。
そこを、「正しい方法をすべて書いてはいないが、わかりやすい」状態に
整えるだけで、工程管理をはじめ、全体像を見通しておくべき仕事での
ミスは激減します。
(仕事が早いのにミスをしない人は、何をしているのか? 飯野謙次著
 文響社刊)
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