【残業代】会社が損をする場合の規程の書き方

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労務管理に奇策なし!大企業20年、中小企業13年 人事労務畑一筋で
現場をはいずりまわった人事労務担当者が中小企業経営者のために語る

作者: 中川清徳  2012年12月14日号   VOL.1346
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川端康成 曰く

(続きは編集後記で)

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【残業代】会社が損をする場合の規程の書き方
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中川:こんにちは。

社長:こんにちは。
   残業代が多くて困っています。

中川:そうですか。
   では就業規則を拝見します。

社長:はい、どうぞ。

中川:うーん。
   これではまずいでしょう。

社長:え?

中川:就業規則は次のように書かれていますよ。

   始業   9時
   終業   17時
   休憩時間 12時~13時

   上記の勤務時間を超えて労働させる場合は25%の割増賃金を
   払う。

社長:先日、労働基準監督署の査察がありましたが指摘を受けてい
   ません。
   どこがまずいのですか?

中川:労働基準監督署は違法でないので指摘しないのです。

社長:違法ではないがまずいことってあるのですか?

中川:残業代が多いとおっしゃっているからです。
   この就業規則の書き方では残業代が多いのは当然です。

社長:どこがまずいのですか?

中川:一日の労働時間が7時間です。
   そして17時を超えたら残業代が発生するからです。

社長:二つもまずい点があるのですか。

中川:そうです。
   一日7時間の労働時間ですが労働基準法では一日8時間
   で良いのです。
   8時間を超えたら割増賃金を払うことになります。

社長:当社は7時間を超えたら割増賃金を払っているがそれは
   本来なら払わなくても良いことだったのですね?

中川:ピンポーン!
   労働基準法では割増賃金を払う必要がない労働時間に
   対して御社は割増賃金を払っているのです。
   しかも、御社は17時を超えたら割増賃金を払うことに
   なっています。
   かりに1時間遅刻をした人でも17時を超えたら割増賃金を
   払っています。

社長:当社は毎日のように残業をしています。
   その差は大きいですね。

中川:御社は50人いらっしゃいます。
   本来払わなくてもよい割増賃金は下記のようになります。
   平均25万円÷154時間×0.25×50人=約43万円/月
   一年間ですと
   43万円×12月=516万円/年
   
社長:えええええ!!!

中川:社長、追い打ちをかけるようですが同業者が8時間勤務だったと
   したら同業者は8時間勤務で賃金(平均)が25万円なのです。
   御社は7時間勤務で25万円なのです。
   したがって、同業者と比較する場合は次のような計算に
   なります。

   平均25万円÷154時間×1.25×21日×50人=約213万円/月
   一年間ですと
   213万円×12月=2,556万円/年です。

社長:ええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!

   ショック!!!!!!
   2500万円も沢山はらっていたのですか。

中川:それに社会保険料や雇用保険料、労災保険料が同業他社より
   多く払っていますよ。
   それらを含めますと
   2,556万円×120%=約3,000万円/年です。

社長:これは一大事だ!
   どうすればいいですか?

中川:一日の労働時間を8時間に変更することです。

社長:わかりました。
   早速変更します。

中川:あのう。
   急に変更すれば従業員が納得しないでしょう。
   これは不利益変更になりますので簡単には変更できません。

社長:そうですか。

中川:従業員と話し合いを持ち同意を得てください。

社長:わかりました。

(中川コメント)

 一日8時間、週40時時間を超えると割増賃金を払わなければなりません。
しかし、多くの会社が本来なら払わなくても良い割増賃金を払っています。
厳しい競争に勝つためには労働時間や休日日数の見直しをしましょう。

 見直しは不利益変更となり労使トラブルの原因となりますので同意を
得ましょう。

 ★御社の残業代の払い方は労働基準法どおりですか?
 ★大企業のマネをしていませんか?
 

今日はここまで。では、またあした。

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    編集後記      
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川端康成 曰く

一生の間に一人の人間でも幸福にすることが出来れば、自分の幸福なのだ。

『掌の小説(人の幸福)」(新潮社)

では、また明日お会いしましょう!!

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