【人事異動】転勤を拒否するので困っている

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 【人事異動】転勤を拒否するので困っている
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中川:こんにちは。
社長:こんにちは。
   A君のことで相談です。
中川:はい、なんでしょうか?
社長:A君に転勤を内示したところ拒否されました。
   それで困っています。
中川:転勤はどのようなものですか?
社長:当社は県内に3箇所営業所があります。
   で、ときどき人事異動で転勤させています。
中川:どうして転勤をさせるのですか?
社長:はあ?
   それは必要があるからですよ。あたりまえでしょう。
中川:どのような必要があるのですか?
社長:本人の成長と組織のマンネリ化を防ぐためです。
   当然だと思いますが。
中川:で、A君が転勤を拒否する理由はなんですか?
社長:家を引っ越ししなければならないからです。
   生活環境が変わるのでいやだというのです。
   食事や洗濯など家事をしなければならないから。
中川:通勤はできないのですか?
社長:片道1時間30分ですからできないことはありません。
   しかし、会社は社宅を提供します。
   できれば引越をしてもらいたいです。
中川:A君は通勤であれば転勤はOKといっているのですか?
社長:通勤時間が長くなるからいやだというのです。
   朝が苦手なので遅刻をする可能性が高いというのです。
中川:で、社長のお考えは?
社長:そんなわがままを言われたら他の社員へのしめしがつきません。
   そもそも業務命令違反です。
中川:採用の時に転勤はないと説明をしていませんか?
社長:それはありえません。
   当社は転勤が当たりまえですから。
中川:そうですか。
   では、就業規則を拝見します。
   たしかに、転勤や出向をさせることがあると明記されていますね。
社長:でしょう。
   だから何が何でも転勤をしてもらわないと。
中川:そうですね。
   規則だからと言うのではなくA君の将来のためにという
   説得がいいでしょうね。
社長:そうですね。
   それにしても朝が弱いからとは情けない理由ですね。
中川:人はいろいろですから、そういう従業員もいるでしょう。
   社長の感覚からしたら信じがたいでしょうが。
   経営者は頑張るタイプだから経営者になっているのです。
   しかし、頑張りたくないタイプもいるのです。
社長:つまり、社長目線で見るなと言うことですか?
中川:いいえ、それはとても大切なことです。
   しかし、社長の価値基準とは違う人もいるのです。
   たとえば出世をしたくないとか。
社長:ところで、仮にA君があくまでも拒否したらどうしたら
   いいですか?
中川:その場合は懲戒処分にすることです。
社長:懲戒処分はどの程度がいいですか?
中川:それは会社の事情や個別の事情がありますので
   絶対的なものはありません。
   懲戒には
   訓戒
   減給
    出勤停止
   諭旨解雇
   懲戒解雇
   などがあります。
   業務命令違反は重大なことです。
   転勤を拒否する理由が弱いので減給か出勤停止など
   でしょうか。
社長:なるほど。
   もう一度A君と話し合います。
中川:懲戒処分を盾に脅迫しないことです。
   社長にその目で見られたら、それだけでも脅迫に
   なりますので。
社長:それは余計なことです(怒)
(中川コメント)
就業規則に転勤が明記されていれば従業員は転勤を拒否できません。
しかし、不当な動機や目的あるいは親の介護があるなど
正当な理由がある場合は転勤をさせるべきではありません。