【退職】うつ病が治らないので辞めてもらう

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【退職】うつ病が治らないので辞めてもらう
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中川:こんにちは。
社長:こんにちは。
   Aさんについて相談です。
中川:はい、なんでしょうか?
社長:Aさんは、うつ病で休職しています。
中川:それは労災ですか?
社長:それでもめています。
   今月末で休職期間が満了します。
   それで、本人に休職期間満了で退職となる通知をしました。
中川:通知はどのようにして?
社長:内容証明郵便です。
中川:で、なにでもめているのですか?
社長:うつ病になったのは労災だから、休職期間満了で解雇するのは
   違法だというのです。
中川:たしかに、労災であれば解雇制限があり、簡単には解雇できません。
社長:労災とは思えません。
中川:Aさんの残業時間はどの程度ですか?
社長:波がありますが、月40時間を超えることはありませんでした。
中川:仕事は激務ですか?
社長:Aさんは出張が多かったです。
   移動時間中は自由です。
   激務とはいえません。
中川:そのほかに何か気になることはありますか?
社長:自宅で深夜に仕事上のメールをしているので、これも労働時間だと
   いうのです。
中川:それは、上司の指示ですか?
社長:いいえ、Aさんが勝手にメールをしています。
   それで、その時間が残業だと言われても。
   そもそも弊社は持ち帰り残業は禁止しています。
中川:休職期間満了までに、職場復帰する可能性があるのでは?
社長:それについてもめました。
   それで、産業医に受診するように指示しました。
中川:はい。
社長:ところが産業医に会うため会社に出向くと、途中で自殺するかも
   しれないと言うのです。
中川:それではうつ病は治っていないですね。
社長:そうなんです。
   すったもんだして、やっと産業医に受診しました。
   産業医はまだ病気が回復していないと言うのです。
中川:であれば、結論は休職期間満了で自然退職とするのが妥当でしょう。
   Aさんが労災だと言い張るのであれば、労災申請を自分でするよう
   に伝えましょう。
   
社長:それで労災となったら?
中川:労災になるかどうかは分かりません。
   しかし、状況から判断すると、労災認定はされないと思います。
社長:わかりました。
   では、予定どおり今月末で退職とします。
(中川コメント)
本日の記事は、認証サービズ会社S事件(東京地裁 平29.1.26判決)を
参考にしました。
うつ病が業務に起因しているかどうかのポイントは
1.残業時間
2.業務の過酷さ
です。
この事件ではそのどれも該当しないということで会社は勝訴しました。
合わせて、パワハラを受けたと原告は主張しましたが、通常の叱責の
範囲であるとして、それも否認されました。