[賃金] 最低賃金改定概要とその先

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発行者: 中川清徳  2020年9月15日号 VOL.4616
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ヘンな○〇○は仇(あだ)のもと  森鴎外
○〇○に入る漢字3文字は?
(続きは編集後記で)
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[賃金] 最低賃金改定概要とその先
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厚生労働省の諮問機関「中央最低賃金審議会」は、令和2年度
地域別最低賃金額について、新型コロナウイルス感染症拡大に
よる現下の経済・雇用への影響等を踏まえ、以下の通り答申を
しました。
・引上げ額の目安を示すことは困難であり、現行水準を維持
 することが適当
・地方最低賃金審議会において、上記見解を十分に参酌しつつ、
 地域の経済・雇用の実態を見極め、地域間格差の縮小を求め
 る意見も勘案しつつ、適切な審議が行われることを希望
・来年度の審議においては、新型コロナウイルス感染症等に
 よる様々な影響を踏まえながら、経済の好循環継続の鍵と
 なる賃上げに向け、日本経済全体の生産性の底上げや、取引
 関係の適正化など、賃上げしやすい環境整備に不断に取り
 組みつつ、最低賃金については更なる引上げを目指すことが
 社会的に求められていることも踏まえ、議論を行うことが
 適当
これを受けて、各地方最低賃金審議会で調査・審議した結果、
各都道府県の最低賃金額が決定しました。その概要は以下の
通りとなっております。
■最低賃金額の改定状況について
・最低賃金引上げ   :40県
 (内訳)引上げ額1円:17県
     引上げ額2円:14県
     引上げ額3円: 9県
・据え置き      : 7都道府県
※詳細はこちら(厚生労働省報道発表資料)をご参照ください。
 https://www.mhlw.go.jp/content/11302000/000662334.pdf
■最低賃金額の改定後の状況について
 全国加重平均額:902円
 最高額(1,013円)と最低額(792円)の金額差:221円
かたや、ドイツの最低賃金委員会は、6月に2021~2022年の法定
統一最低賃金引上げについて、以下の通り政府に勧告しました
(正式な決定は閣議決定後となります)。
現行     : 9.35ユーロ(1175円 9/14現在のレートで)
2021年1月1日~: 9.50ユーロ(1194円)
2021年7月1日~: 9.60ユーロ(1207円)
2022年1月1日~: 9.82ユーロ(1234円)
2022年7月1日~:10.45ユーロ(1313円)
新型コロナウイルス感染症拡大の影響を考慮して、直近での
引上げは控えるものの、2年程先には1ユーロ以上の引上げを
目指すという内容になっています。
日本政府も、直近まで最低賃金を全国平均で時給1000円に引き
上げる目標を置いていました。そして、2016年度から4年連続で
年率3%以上の大幅な引上げが行われ、2019年度は全国平均で
27円も上昇しました。今後については、新しい政権や経済状況
に左右されるところではありますが、最低賃金が今後とも上昇
していくことは既定の路線と言えるでしょう。
それを考えると、今回の全国平均1円増にとどまった引上げは、
ドイツと同様に引上げの予備期間と捉えながら、将来の引上げ
に向けた備えを行うべきかもしれません。
現況のコロナ禍において、どの企業も経営環境が一変しました。
だからこそ既存の枠組みに捉われず、新しい発想を持ちながら、
未来に向けて変革を推進し、生産性を向上させていくことが
大切になるでしょう。
(中川コメント)
ご参考までに。
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編集後記      
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ヘンな○〇○は仇(あだ)のもと  森鴎外
○〇○に入る漢字3文字は?
答え 親切心
「倹約」と「けち」とを一緒にしてはならない。
しかし、下世話な噂話などでは、これが混同されているケースが
多い。品性の卑しい連中は、給料の支給や取引の支払いが
キチンとできているような堅実な状況を、決して喜ばない。
自分たちがごまかしを働く隙を見出せないからである。彼らは
腹立ちまぎれに、こういう凡帳面さを「吝嗇(りんしょく)」だ、
などと言いたてたりする習性がある。
本物の「吝嗇」には、いろいろなタイプがある。
たとえば寄生木(やどりぎ)のように、人に取りついで生活し、
人を見たら泥棒と思えという戦々競々の警戒心で身を守る人間が
いる。この種の人を相手にする場合は、「与えずもらわず」
つまり利害関係をまったく持たないことだ。これで相手があなた
から離れていったとしても、こちらには何一つ損はない。
溜め込む一方で出費を惜しむタイプの吝嗇家は、往々にして阿諛迎合
(あゆげいごう)人間や悪知恵の働く人間に、うまくだまし取られて
いる。
親切心を出して、この種の人を助けてやろうなどと思わないことだ。
あなたのアドバイスより、欺く連中の甘言に耳を傾ける人種だ
からである。
「女郎買いの糠味噌汁」という下世話なたとえのとおり、けちけち
溜めては馬鹿な金づかいをする人だから、いっさい関わらないように
しょう。
最後にひとつ、特殊な気分の吝嗇がある。
画家に絵の具を貸してくれ、彫刻家に粘土を貸してくれ、学者に
書物を貸してくれと、頼んでみたらわかる。彼らは、それが高価な
ものであろうとなかろうと、意外と貸し渋るものである。
飯のタネ(商売道具)の値打ちはまったく別物であるかもしれない。
世間には、こういった気分の吝嗇も存在することを知っていたほ
うがよい。
「吝嗇」と「濫費」は裏表の関係にある。もし、浪費家と交際する
ことになった場合に守るべきことは、まず絶対に相手の散財の
おつきあいはしないこと、そして、絶対にその人からの贈り物を
受け取らないことである。
(1日「ひと粒」の黄金の知恵 森鴎外著 齋藤孝訳 イープレスト刊より)
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