【出向】出向手当

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 【出向】出向手当
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中川:こんにちは。
社長:来月からAさんを子会社に出向させようと考えています。
中川:御社の就業規則はどうなっていますか?
社長:就業規則に出向させることがあると書いてあります。
中川:であれば、問題ありません。
社長:弊社は7時間30分勤務です。
   子会社は8時間勤務です。
   休日日数も5日子会社のほうが少ないです。
   Aさんが出向を拒否することが考えられます。
中川:考えられますね。
   しかし、就業規則に出向させることもあると書いてあります。
社長:Aさんが書いてあるとは知らなかったと言うかも知れません。
中川:就業規則はどこにありますか?
社長:休憩所にあります。
   また、イントラネットで見ることができます。
中川:であれば、Aさんは知らなかったということはできません。
   私たちは、日本の法律で知らないことがたくさんあります。
   しかし、違反したら罰せられます。
   知らなかったということは通用しません。
   それと同じです。
社長:Aさんは勤務時間が長くなる、休日日数が少なくなることに
   難色を示す可能性があります。
   正直、ちょっと気の毒だと思っています。
中川:であれば、出向手当を支給することで埋め合わせをしたら
   どうでしょう?
社長:出向手当ですか?
   そんなものは弊社にはありません。
中川:必要であれば新設すればいいです。
社長:出向手当は労働条件の低下を補塡(ほてん)するものですか?
中川:そうです。
   出向手当の性格は、労働時間や休日日数、あとは福利厚生面など
   の不利益を補うものです。
社長:どこでも出向手当を出しているのですか?
中川:所定労働時間が長くなる 56.8%
   年間休日が少ない    35.1%
   業務上の負荷      40.5%
   福利厚生不十分     21.6%
   (労政時報 2017年2月24日発行より データ数37社 複数回答)
   となっています。
社長:うーん。
   だいたい半分ですね。
   金額はどの程度でしょう?
中川:支給する場合はそれに見合った金額にしている会社が多いですね。
社長:たとえば?
中川:労働時間が短くなる分を出向手当とするとか。
社長:一日30分長くなるから、Aさんの場合は時給1,2500円なので
   750円×22日=13,750円/月となりますね。
   休みの日数が少ない分は年間で5日ですから5万円ですね。
   月にすると4,166円(=5万円÷12月)ですね。
   合わせると17,916円/月となります。
   そのほかの不自由を考えると2万円くらいですか。
中川:それを基準に検討されるといいでしょう。
社長:支給しない会社もありますよね?
中川:そうですね。
   支給するかしないかは、御社で決定することです。
社長:中川さんは出向の経験があるということでしたね?
中川:そうです。
   大手企業から子会社に出向しました。
   当然、勤務時間や休日日数などの労働条件は悪くなりました。
社長:出向手当はいくら支給されたのですか?
中川:出向手当はありませんでした。
社長:それでよく我慢をしましたね。
中川:元々管理職でしたから、給料はそれなりにありました。
   労働条件が下がっても気になりませんでした。
社長:そうですか。
   出向手当について次回の幹部会議で議題にします。
(中川コメント)
出向手当を支給するかどうかは自由です。
しかし、労働条件が悪くなる分は出向手当などで補塡(ほてん)するのが
良いでしょう。
海外勤務の場合は出向手当のような性格の手当を支給している会社が
ほとんどです。(統計をとっていませんが、経営者とお話しをしている
情報からです)