【情報漏えい】認知症の親族がUSBメモリーを紛失

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 【情報漏えい】認知症の親族がUSBメモリーを紛失
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中川:こんにちは。
社長:こんにちは。
   Aさんについて相談です。
中川:はい、なんでしょうか?
社長:Aさんが顧客に出張するため、顧客の情報が入ったUSBメモリーを
   自宅に持って帰りました。
   顧客情報の持ち出しは上司の許可を得ています。
中川:はい。
社長:そのUSBメモリーを認知症の親族がどこかに紛失したのです。
   それで、Aさんに対して懲戒処分と損害賠償を請求したいのです。
   認知症の親族であることが気になりますが、可能ですか?
中川:これは扱いが難しいですね。
社長:何がですか?
中川:顧客情報の漏洩はありましたか?
社長:今のところ、被害はありません。
中川:AさんはUSBメモリーを自宅でどのように管理していたいのですか?
社長:普段どおり、自分の机の引き出しに入れて保管したそうです。
中川:以前にも机の引き出しに入れた物が、認知症の親族が
   紛失したことがあるのですか?
社長:それは知りません。
中川:これは重要なことです。
   Aさんに確認しましょう。
社長:どうして重要なのですか?
中川:Aさんがどの程度注意深くUSBメモリーを扱ったかのポイントに
   なります。
社長:といいますと?
中川:以前から認知症の親族が机の引き出しに保管してある物を
   紛失していたとしたら、Aさんの不注意の責任を問えます。
   しかし、もし、今回が初めてであれば、懲戒処分や
   損害賠償を請求することは慎重にしましょう。
社長:慎重にするとは具体的にどういうことですか?
中川:Aさんが紛失したのではなく、認知症の親族が紛失したのです。
   認知症の親族が紛失するおそれがあると予見できているのに、
   机の引き出しに保管していたらAさんの責任は重大です。
   しかし、今回が初めてであれば、酷でしょう。
社長:しかし、USBメモリーを自宅で紛失したのは事実です。
中川:しかし、現在のところ実害がありませんね。
社長:それはそうですが...。
中川:まずは、Aさんに以前から認知症の親族が机の引き出しの
   物を紛失していたかを確認しましょう。
   処分はそれからです。
社長:分かりました。
(中川コメント)
認知症の親族が線路に立ち入り死亡した事件があります。
鉄道会社は、同居していた妻と子に損害賠償を請求しました。
この損害賠償の請求は不当だということで裁判で争われました。
最高裁までいきました。
最高裁の判断は、総合的に判断して、妻と子は認知症の親族を
監督する義務者ではないとしました。
今回の事例の紛失とは、内容が異なりますが、参考になる
判決です。
認知症の親族がいる場合は、自宅の情報管理はより慎重にするように
注意しましょう。
あなたの会社は大丈夫ですか?