【送検事例】不適法な協定の下で週最長42時間の残業
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労務管理に奇策なし!大企業20年、中小企業13年 人事労務
畑一筋で現場をはいずりまわった人事労務担当者が中小企業
経営者のために語る
作者: 中川清徳 2015年7月7日号 VOL.2315
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策略を知っていても使わない
(続きは編集後記で)
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【送検事例】不適法な協定の下で週最長42時間の残業
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会社が指名した従業員を三六協定の労働者代表とする不適法な協定
で、最長週42時間の時間外労働を行わせていたとして、運送会社と同
社の元営業所長が労働基準法第32条違反の疑いで送検された。同社は、
以前にも三六協定未締結のまま従業員に長時間残業を行わせ、送検さ
れたことがあった。
概要
送検されたのは、運送会社(法人)と同社の元A営業所長。同社では、三
六協定は締結・届け出ていたが、協定の労働者側の締結当事者である「労
働者の過半数を代表する者jについて、会社が指名した従業員をそのまま充
てていた。
労働基準法では、三六協定を締結する場合の「労働者の過半数代表者」
については、
1.同法第41条第2号の管理監督者でないこと
2.協定の締結当事者の選出という目的を明らかにして行われる投票、挙手
などの方法による手続により選出された者であること
を要件としている(法施行規則第6条の2第1項) 。
同社の三六協定の「労働者の過半数代表者」は、この要件を欠き、そうし
た不適法な協定の下で、平成X年4月から同年5月までの1ヵ月間、従業員であ
る運転手4人に1日最長8時間30分、1週最長42時間30分の時間外労働を行わせ
ていた。
送検に至る経緯
同社では、平成Y年8月に高速道路上で同社のトレーラーが追突事故( 5人
死亡)を起こし、A営業所は、貨物自動車運送事業法で義務づけられている過
労運転防止措置を講じていなかったとして、運輸局から計27日間の事業停止
処分を受けていた。
この事故をきっかけに、同年8月、同社では三六協定が締結されていないま
ま従業員に1日最長22時間、週最長79時間の時間外労働をさせていた事実が発
覚し、同社(法人)と同社の常務取締役が労働基準法違反の疑いで送検された。
なお、この追突事故では、法人には罰金刑、常務取締役には懲役4ヵ月(執
行猶予3年)の刑が確定していた。
送検した同労働基準監督署は、「過労運転の改善を促す判決の確定直後に、
法違反があったことは非常に残念」としている。
(中川コメント)
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編集後記
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策略を知っていても使わない
権勢や利益、豪華な生活やきらびやかな装飾類に関心がない人は、た
しかに清潔である。しかし、こうしたものに関心を持ちながらも、それ
にどっぷりと浸らない生き方ができる人こそ、実はもっとも清廉潔白な
人だと言える。
また、人を陥れたりだましたりする策略や駆け引きのたぐいを知らな
い人は、たしかに賢明である。しかし、こうした権謀術数を知りながら
も、それを使わない生き方ができる人こそ、実はもっとも賢明なのであ
る。
(紫根譚 祐木亜子訳 ディスカバー刊より)
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