【労基法】付加金とは

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 【労基法】付加金とは
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中川:こんにちは。
社長:残業代が未払いの場合は、付加金も払わなければならないと
   聞きました。
   付加金とはなんですか?
中川:労働基準法で定められています。
   残業代の未払いが10万円あったとします。
   その場合に付加金が10万円となります。
社長:へえ、金利にしては高いですね。
中川:あのう、金利ではありません。
社長:10万円払わなかったのが1年であればその分の利息を
   払わなければならないと思っていました。
中川:いいえ、付加金はいわゆる懲(こ)らしめです。
   残業代を払っていないのはけしからんということです。
社長:では、もし、100万円の未払いがあれば
   合計で200万円を払わなければならいのですか?
中川:そうです。
社長:1億円のばあいは2億円?
   金額が高い場合は割引はないのですか?
中川:あのう、商売ではないのです。
   1億円の場合は2億円です。
社長:ところで付加金はだれがもらうのですか?
中川:請求した本人です。
   従業員か元従業員です。
社長:元従業員でももらえるのですか?
中川:そうです。
   残業の未払いは退職後に訴えることが多いです。
   だから、元従業員でも請求できます。
社長:それはかなわないな。
   仮に月5万円の未払いがあったとしたら
   1年間で60万円
   2年間で120万円
   3年間だったら180万円。
   それの倍ですか...。
中川:あのう、3年間は払う必要がありません。
   最大でも2年間です。
   時効が2年だからです。
社長:そうですか。
   それでも120万円の倍は大きな金額ですね。
   付加金は必ず払わなければならないのですか?
中川:いいえ、裁判所が命じるのです。
   労働者から請求があった場合に限り。
   でも、訴訟になると弁護士がつくと思いますので
   付加金の請求もぬかりなくするでしょう。
社長:では、訴訟にならなかったらいいですね?
中川:そうです。
社長:残業未払いの訴訟は多いのですか?
中川:数えたことはありませんが、ネットで検索すると
   たくさん出てきます。
社長:そもそも残業代を払わないからいけないのですね。
中川:そうです。
   ちゃんと払っていれば気にする必要はありません。
社長:おびえなければならないのは、受注減ですね。
中川:そうですね。
(中川コメント)
労基法の該当条文です。
労基法第114条(付加金の支払い)
裁判所は、第二十条、第二十六条若しくは第三十七条の規定に違反
した使用者又は第三十九条第七項の規定による賃金を支払わなかっ
た使用者に対して、労働者の請求により、これらの規定により使用
者が支払わなければならない金額についての未払金のほか、これと
同一額の付加金の支払を命ずることができる。ただし、この請求は、
違反のあった時から二年以内にしなければならない。
裁判所は、
・解雇予告手当(労基法20条)
・休業手当(労基法26条)
・割増賃金(労基法37条)
・年次有給休暇中の賃金(労基法39条第7項)
を支払わなかつた使用者に対して、労働者の請求があれば
付加金を命じることができます。