【残業代】基本給は残業代を込みであることを同意していた

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 【残業代】基本給は残業代を込みであることを同意していた
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中川:こんにちは。
社長:こんにちは。
   知り合いの社長の会社では、採用面接の時に基本給には
   残業代が入っているからと承知してもらっている。
   だから、残業代を払っていないというのです。
   そんなのありですか?
中川:社長はどう思いますか?
社長:残業代は頭の痛い問題です。
   払わなくてもよいのであればありがたいですね。
   でも、なんとなくそれはおかしいのではと思います。
中川:残業代を含めた基本給にしているから、残業代は払わなくても
   いいというのは、おかしいと考えるべきです。
   たしかに、残業代はやっかいな問題もあります。
   しかし、基本給に含めているから払わないというのは
   無茶です。
社長:でも、その分、基本給を高くしていると言っていました。
   あながち否定されるものではないように思いますが。
中川:はい、基本給に残業込みであることは違法ではありません。
   しかし、基本給に含まれる残業代が何時間分か不明ですね?
社長:そうかもしれませんね。
   でも、本人とそれでよいと確認してから採用しています。
   本人がいいと言っているのですから、いいではないですか。
中川:そうですね。
   雇用契約は双方の同意があれば成立します。
   民法で契約の自由が認められていますからOkです。
   ただし、法違反の同意は契約が無効になります。
社長:どうして法律違反なのですか?
中川:残業代がいくらかわかりません。
   それでは残業代を払っているとは証明できません。
社長:でも、雇用契約書に書いてあればいいのではないですか?
   また、賃金規程にそのように書いておけばいいのではないですか。
中川:たしかに、それであればOKです。
   ただし、雇用契約書などに何時間分の残業代であると明記
   する必要があります。
   単に残業代込みではあいまいです。
社長:どうしてあいまいだとダメなのですか?
中川:事業主は労働時間を把握する義務があります。
   とうぜん、残業をした場合は何時間残業をしたかも把握する
   義務があります。
   極端な話、先月は残業ゼロ、今月は残業100時間だったと
   します。
   残業代は先月はゼロなのに払っています。
   今月は100時間の残業をしています。
   100時間だと基本給の倍くらいになりますよ。
   たぶん、100時間分の残業代が基本給に含まれているとは
   考えにくいです。
社長:そんな極端な話を出されても。
   もっと普通に考えられないのですか?
中川:違法かどうかを考える場合、極端なことを検討すると
   わかりやすいからです。
   100時間の残業はありえないとは断言できませんよね?
   また、100時間残業をしてもそれに見合う給料になってい
   なければ法律違反ですよね?
社長:それはそうですね。
   では、どうしたらいいですか?
中川:基本給は基本給、残業代は残業代として区分して払うべきです。
社長:結論は結局そこに落ち着くのですね。
(中川コメント)
本人の同意があっても残業込みの基本給とすることは原則として
避けてください。
同意があっても法律違反となることがあります。
もし、基本給に残業代を含めたい場合は何時間分の
残業代分だと明記しなければなりません。
だから基本給に残業代を含める意味がないのです。
あいまいな残業代の払い方に労基署の目が厳しくなっています。