【雇用契約】有期契約の更新限度を定める場合の注意点

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 【雇用契約】有期契約の更新限度を定める場合の注意点
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中川:こんにちは。
社長:こんにちは。
   エンジニアを採用しようと思っています。
中川:はい。
社長:採用を予定しているAさんの実力が未知数です。
   それで、正社員とはしたくありません。
中川:どうしてですか?
社長:Aさんには年収600万円を予定しています。
   弊社にとって、600万円は高額です。
   もし、Aさんの能力が期待したほどでない場合は
   有期契約終了で雇い止めできるようにしたいのです。
   その場合の注意点を教えてください。
中川:有期契約期間はどの程度を想定していますか?
社長:一年です。
中川:一年後は正社員にするのですか?
社長:問題なければ一年後に正社員にしても良いと思います。
   しかし、専門性が高い業務内容なので、三年間は様子を見たい
   ですね。
中川:そうですか。
   であれば、
   1.有期契約を三年とする
   2.更新期間は三年を限度とする
   という内容の雇用契約を締結すればいいでしょう。
   Aさんには、三年後に正社員にする可能性があることも伝えましょう。
社長:もし、一年後に期待外れだと分かったら一年で、契約期間満了で
   雇い止めができますか?
中川:はい、できます。
社長:三年経ったところでもできますか?
中川:できます。
社長:契約内容はそのようにするといいですか?
中川:次のようにすればよいでしょう。
   
   例文
   1.雇用期間は○○年○○月○○日から○○年○○月○○日の
     一年間とする
   2.本人が希望し、かつ雇用を更新することが必要と認められる
     場合は三年を限度に更新する
   3.勤務成績を考慮し、雇用の必要性を認め、かつ、本人が希望
     する場合は、期間の定めのない契約ができるものとする
社長:なるほど。
   これを雇用契約に明記するのですね。
中川:そうです。
(中川コメント)
本日の記事は、福原学園(九州女子短大)事件(平成28.1判決 最高裁)の
判決を参考にしました。
この事件は、下級審判決では雇い止めは無効とされましたが、最高裁で
雇い止めは有効であると判決が覆(くつがえ)りました。
判決が覆った理由は、雇用契約に雇い止めについて具体的に記載されて
いたからです。
有期契約の場合は、雇い止めについて明記するのがいいでしょう。
   例文
   1.雇用期間は○○年○○月○○日から○○年○○月○○日の
     一年間とする
   2.本人が希望し、かつ雇用を更新することが必要と認められる
     場合は三年を限度に更新する
   3.勤務成績を考慮し、雇用の必要性を認め、かつ、本人が希望
     する場合は、期間の定めのない契約ができるものとする