【賃金】「控除」と「賃金カット」の違い

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・迫られる「手当」と「基本給」見直し
・働き方改革関連法案が成立したことへの対応
さて、「同一労働同一賃金」を争点にした最高裁判決が出ました。
「定年後の継続雇用の賃金を下げる、非正規従業員の賃金格差」が違法か
どうかの判決です。
争点は諸手当でした。
そこで示された判決から従来の考えを改める必要がでてきました。
正規と非正規との間の「均等待遇」と「均衡待遇」の実現が今後の課題に
なりそうです。
それにより、諸手当の見直しが話題になりそうです。
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労務管理に奇策なし!大企業20年、中小企業13年 人事労務畑一筋で
現場をはいずりまわった人事労務担当者が中小企業経営者のために語る
作者: 中川清徳  2019年7月2日号   VOL.4164
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お客さん、その商品はもう古いですよ。
(続きは編集後記で)
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 【賃金】「控除」と「賃金カット」の違い
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1.「控除」と「賃金カット」の違い
「賃金カット」という用語は法律上の用語ではないため、さまざまな場面
で多義的に用いられる。
一般的には、日給月給制(欠勤、遅刻、早退をした場合において、不就労
時間に相当する賃金を月給から差し引き、その残額を月給として支払う
制度)の場合において、不就労時間に相当する賃金を差し引くときに
用いられる場合が多い。
このような意味での「賃金カット」は、そもそも労基法24条1項が禁止して
いる「控除jには当たらない。
すなわち、労基法24条1項は「全額払いの原則jを定めており、
(1)法令に別段の定めがある場合
(2)過半数労働組合(過半数労働組合がないときは過半数代表者)との書面
  による協定がある場合
でなければ、賃金の一部を控除することができないとされている。
この「控除」とは、履行期の到来している賃金債権について、その一部を
差し引いて支払わないことをいい、そもそも発生していない賃金債権につ
いてまで支払うことを求めているものではない。
そのため、就業規則において、欠勤、遅刻、早退をした場合には、不就労
時間に相当する賃金を月給等から差し引くことを定めている場合には、不
就労時間に相当する部分については、そもそも賃金債権が発生していない
以上、これを月給等から差し引くことは、労基法24条I項が禁止している
「控除」には当たらない。
したがって、賃金カットを行うためには、労基法24条1項の例外要件を満た
す必要もない。
ただし、就業規則において完全月給制(欠勤、遅刻、早退など不就労部分
があっても賃金をカットせずに全額支払うこと)を定めている場合には、
そもそも欠勤等があっても賃金カットできない。そのため不就労時間に相
当する賃金債権も発生する以上、これをカットすることは「全額払いの原
則」に反することになる。
2.控除の限度と相殺
労基法上、賃金から控除できる金額については特段の制限はない。
「控除される金額が賃金の一部である限り、控除額についての限度はな
い」ため、多額の控除も可能である(昭29.12.23基収6185、昭63.3.14
 基発150・婦発47)。
ただし、使用者が、「全額払いの原則」の例外として過半数労働組合(過
半数労働組合がないときは過半数代表者)との書面による協定によって
「相殺」を行う場合には、相殺の上限については民法上の制約がある。
すなわち、民法510条(差押禁止債権を受働債権とする相殺の禁止)では、
差押禁止債権については相殺できないとされており、民事執行法152条で、
差押禁止債権についての定めがあり、賃金については「その支払鶏に受け
るべき給付の4分の3に相当する部分は差し押さえではならない」と定めら
れている。
つまり、原則としてその支払い期に受けるべき金額の4分の1を限度として
しか差し押さえることができない。
なお、賃金額の4分の3に相当する額が政令(民事執行法施行令)で定める
額を超える場合は、政令で定める額が相殺禁止部分となる。これによれば、
給与月額が44万円以上の場合には、差押禁止の上限額は月33万円となり、
給与月額が44万円を下回る場合には、その4分の3が差し押さえを禁止され
る。
そのため、原則として賃金の4分の3については、使用者による一方的な相
殺によって控除することはできない。
(中川コメント)
欠勤した場合等の賃金カットは、そもそも賃金債権が発生していない部分
を月給等から差し引くものにすぎませんから、労基法24条1項が禁止して
いる「控除」には当たりません。
したがって、控除の限度はありませんが、相殺の場合には民法および民事
執行法により、原則として賃金の4分の3については控除できません。
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