定年後再雇用と「待遇差」――福岡地裁が下した判断とは?
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「労務管理は王道こそ最善」
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中小企業の経営者・労務担当者のために語る!
発行責任者:有限会社中川式賃金研究所 中川清徳
2025年4月18日 Vol.5933
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腹式呼吸
「息を口から大きく吸って、口からゆっくり吐く」 ホント?
(続きは編集後記へ)
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定年後再雇用と「待遇差」――福岡地裁が下した判断とは?
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定年を迎えたあとも働き続ける人が増えています。
その一方で、再雇用後の賃金や手当が大きく下がることについて、
「不公平では?」という声もよく聞かれます。
今回取り上げるのは、JR九州で働いていた元正社員たちが、
再雇用後の待遇差が不合理だとして会社を訴えた裁判です。
福岡地裁は令和6年1月8日、原告の訴えを退け、
「不合理とは言えない」と判断しました。
この裁判では、正社員と再雇用社員で次のような差がありました。
- 基本給や手当が少ない
- 扶養手当や住宅援助金が支給されない
- 期末手当の支給額も少ない
しかし、裁判所は次の点を重視しました。
- 再雇用社員には転勤がなく、昇進もないなど、働き方の前提が違うこと
- 再雇用後の賃金減少を補うため、”高年齢雇用継続基本給付金”を
受け取れること
- 労働組合との交渉を経て決まった制度であること
こうした事情をふまえ、正社員との待遇差は法律に反しないと
判断されたのです。
この判決からわかるのは、再雇用後の待遇については、
単純に「同じ仕事をしているのに賃金が低い」と見るのではなく、
働き方の違いや、給付金などの外部要因も含めて全体として
合理的かどうかが問われるということです。
◆ 実務ポイント
- 再雇用社員と正社員の「職務内容」「異動・転勤の有無」など、
働き方の前提条件の違いを整理しておくことが重要です。
- 高年齢雇用継続基本給付金など、公的制度の活用を説明できる
ようにしておくことがリスク回避につながります。
- 再雇用後の賃金体系や支給制度は、労使交渉の記録や合意書を
明確に残しておくことが大切です。
◆ 中川コメント
定年後も意欲的に働く方を受け入れる制度は、企業にとっても
貴重な戦力維持の手段です。
その一方で、待遇の見直しをめぐってトラブルになることもあります。
今回の判決は、「同じ仕事だから同じ給料にすべき」とは一概に
言えないことを、改めて確認した内容でした。
再雇用制度を設ける際には、なぜ賃金が下がるのか、その背景や
仕組みを丁寧に説明できることが、制度への納得感と信頼に
つながると感じます。
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編集後記
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腹式呼吸
「息を口から大きく吸って、口からゆっくり吐く」 ホント?
「腹式呼吸」は健康効果が高いといわれている。
大量の空気を吸い込むことで、腹部のさまざまな臓器が
横隔膜に押されて活性化し、大脳も刺激を受ける。
これにより、自律神経のバランスが整うという理屈だ。
では、この腹式呼吸とはどのような呼吸法なのか。
大きな呼吸であるため、口から吸って口から吐く人も少なく
ないかもしれない。しかし、口から息を吸うと、空気中の
ほこりなどをそのまま吸い込むことになる。
また、口からゆっくり長く吸うのは意外と難しい。
腹式呼吸は、鼻からゆっくり息を吸い、口から少しずつ吐くのが
正しいやり方である。仰向けになり、両手を下腹に置いた
姿勢で行うとよい。1日1セット、夜にゆったりと数回の
腹式呼吸を行う習慣をつけると、緊張をほぐすのに効果がある。
出典:『日本人の9割がやっている残念な健康習慣』(青春出版社)
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