■陰口・録音・裁判…職場トラブルのリアル■

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発行責任者：有限会社中川式賃金研究所　中川清徳
2025年6月17日　Vol.5993
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■動と反動の法則■
（続きは編集後記へ）

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■陰口・録音・裁判…職場トラブルのリアル■
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「最近、職場の雰囲気がギスギスしてきた」
そんな感覚を覚えたことはないでしょうか？

大阪市内の運送会社で起きた実例です。
トラック運転手の男性は、休憩室のホワイト
ボードに書かれた中傷に心を痛めました。
社内調査で書いた同僚は処分されたものの、
今度は陰口が広がっていきます。

「言い逃れできない証拠が必要だ」
そう考えた男性は、休憩室にこっそりボイス
レコーダーを置き、同僚の悪口を20回以上録音し、
その内容をもとに名誉毀損で訴訟を起こしました。

ところが、相手側は「無断録音はプライバシーの
侵害だ」と反訴。
裁判は“悪口の是非”から“録音の是非”に
焦点が移りました。

大阪地裁の判断はこうでした。
「休憩室は一定のプライバシーがある場所であり、
長期間にわたる録音は著しい権利侵害にあたる」。
その結果、録音を行った男性に18万円の損害賠償の
支払いが命じられたのです。

ただし、悪口を言った側にも一部賠償が
命じられました。
録音をしていなかったもう一人の原告には、
同僚からの陰口に対して15万円の慰謝料の
支払いが認められました。

この判決が示すのは、
「不適切な言動をされても、自分が法を
犯してはいけない」という教訓です。

一方で、陰口の蔓延する職場風土こそが、
本来見直されるべき問題です。
実際、別の社員が日常的に録音していた会話の中にも、
陰口が含まれており、それが裁判の証拠として
認められました。

今、あなたの職場では――
誰かがこっそり録音しているかもしれません。
誰かが休憩室で胸を痛めているかもしれません。

トラブルを未然に防ぐには、何よりも
「声を聴く」ことです。
小さな違和感を放置せず、誰もが安心できる
職場をつくること。
経営者や管理職の姿勢が、組織全体の風通しを決めます。

まずできることから始めましょう。
たとえば、休憩室や更衣室の利用ルールを見直す、
定期的に職場の声を拾う仕組みをつくる――
その一歩が、大きなトラブルを防ぐ力になります。

『日経新聞　R7.6.15　社会面』を参考にしました。

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編集後記
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■動と反動の法則■

仏教では「欲を捨てよ」と教えるが、それは無欲を
装うことではなく、「利己を離れよ」という意味だ。
人は皆利己的であるが、それを自覚するか否かで
差が生まれる。不完全な利己主義は、他者にうそを
ついて利益を得ようとし、結果的に信頼を失う。
しかしその時、当人は「自分が損をしている」とは
気づいていない。むしろ得をしていると思い込む。
だからこそ、目先の損得を超えた価値を見失わず、
誠実に生きる姿勢こそが、最大の“利”となるのだ。

出典：『人たらしの術』（無能唱元著）

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