【残業代】営業手当を払っているので残業代は払わなくても良いか

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労務管理に奇策なし!大企業20年、中小企業13年 人事労務
畑一筋で現場をはいずりまわった人事労務担当者が中小企業
経営者のために語る

作者: 中川清徳  2015年3月31日号   VOL.2203
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すべてのものは時間の支配を受けている

(続きは編集後記で)

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 【残業代】営業手当を払っているので残業代は払わなくても良いか
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中川:こんにちは。

社長:こんにちは。
   当社は販売実績に基づき営業手当を支給しています。
   残業などをすれば当然販売実績が上がります。
   やったら報われる制度です。

中川:残業代は払っているのですか?

社長:いいえ、営業手当をたくさんもらおうと思ったら
   残業をすればいいのです。
   だから、残業代は払っていません。
   問題ないと思うのですが。

中川:問題があります。

社長:どうしてですか?

中川:営業手当は販売実績に基づき払っているのです。
   それとは別に残業をしたら残業代を払わなければなりません。

社長:そんな。
   それでは二重払いになり、やっていけません。

中川:そうですね。
   経営的にはそんなことはできません。
   しかし、労働基準法に違反します。
   違反してまで経営をしたいですか?

社長:法律、法律といいますが、残業ばかりたくさんされて
   販売実績が上がらなければ倒産します。
   残業をしたら営業手当が増えることにすればのですから残業を
   払っているのと同じです。

中川:でも、残業をしても販売実績が上がらなければ営業手当は
   増えないのでしょう?

社長:それは本人の能力ですから、しょうがないでしょう。

中川:それは経営者の論法です。
   労働基準法は労働時間に対して賃金を払うことが前提です。
   本人の能力による差は賃金や賞与でつけてもOKですが
   残業代で差をつけてはいけません。

社長:そうはいっても...。

中川:現在の賃金規程が問題です。
   営業手当は営業手当であり、残業代であることとなっていません。
   営業手当の定義を見直すといいでしょう。

社長:ほう、どうするのですか?

中川:営業手当は月30時間分の残業代を含むと。

社長:そうすればいいのですか。
   でも、30時間を超える営業マンもいます。

中川:その場合は超過分を払うのです。

社長:なんだ、やっぱり残業をしたほうが得になりますね。

中川:そうですね。
   しかし、月30時間分であると明示すれば営業マンも
   その時間内に終了しようと努力するでしょう。
   また、管理職もそのような指導をすることです。

   現在のまま労働基準監督署に入られたら
   営業手当も含めて残業代を払えとなりますよ。

社長:うーん。それは困ります。
   では、賃金規程を変更します。
   でも、営業成績と残業代の整合性が難しくなりました。

中川:難しいとは思いますが、違法だといわれることは
   避けましょう。

(中川コメント)

 営業手当を支給して残業代を払っていないことがありますが、
残業代未払いとなります。
賃金規程に営業手当は残業代であることを明記しましょう。
その場合に○○時間分というように時間を表示することがポイントです。

今日はここまで。では、またあした。

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    編集後記      
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すべてのものは時間の支配を受けている

 世の中に時間というものが存在する以上、同一のものは存在しない。
たとえば一本の松にしても、種子から苗となり、苗から若松となり、
若松から成長して成樹となる。そして、その成樹も時間の経過にともなっ
て次第に老いて、最後には枯れる。

 このように、昨日の松は今日の松と同じではないし、明日の松も今日
の松と同じではない。世の中のすべてのものは、この松のように時間の
支配を受けているのだ。

(努力論 幸田露伴 三輪祐範訳 ディスカバー刊より)

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