中川清徳のブログ

2017年3月の記事一覧

2017年
3月31日

 【労務管理】後輩から金銭を借りる

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 【労務管理】後輩から金銭を借りる
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中川:こんにちは。
社長:こんにちは。
   Aさんについて相談です。
   Aさんが後輩からお金を借りているのです。
   しかも、頻繁に。
中川:借りたお金は返しているのですか?
社長:返しているが、期限を守れないことがよくあるそうでです。
   後輩達は迷惑をしているようです。
中川:迷惑をしていると言われたのですか?
社長:直接言われたことはありませんが、人づてになんとなく
   分かります。
中川:Aさんは困った人ですね。
社長:それで、Aさんに注意をしようと思うのですが、
   何か注意点はありませんか?
中川:プライベートな金銭の貸し借りですから、会社が加入することは
   できません。
社長:しかし、現実に後輩達が迷惑をしています。
中川:それが職場秩序に悪影響を与える場合は、介入できます。
   具体的に何か悪影響がありましたか?
社長:そう言われると具体的なものはありません。
   しかし、放置もできません。
中川:そうですね。
   Aさんと面談をすることをお勧めします。
社長:面談で注意するのですか?
中川:その前に、Aさんの私生活に問題があると思います。
   そのあたりを聞き出すのです。
社長:どうしてですか?
中川:後輩からお金を借りるということは、金銭的に相当切羽詰まった
   状態だととらえるべきだからです。
社長:どうしてですか?
中川:以前の会社の経験談です。
   ギャンブルで金銭に困り、まず駆け込むのがサラ金です。
   サラ金は借りるときはニコニコですが、返済期限をすぎると
   強烈な取り立てが行われます。
   それで、同僚からお金を借り始めるのです。
   同僚の懐はたかが知れていますので、次に社内を物色します。
   金目もものを転売します。
   それでも、返済に困り、ついに投身自殺をしました。
社長:うーん。
中川:同僚から金銭を借りるということは、相当追い込まれている
   可能性が高いです。
社長:そういうことですか。
   では、一刻も早く対応する必要がありますね。
中川:そうですね。
   Aさんは本当のことをなかなか話してくれないと思います。
   それを上手に聞き出すことになります。
社長:それなら適任がいます。
   その人に聞き出してもらいます。
中川:ご成功をお祈りします。

(中川コメント)
同僚や後輩から借金をする頻度が高くなると、自然にその情報は
入ってきます。
借金を繰り返しているのであれば、相当追い込まれている可能性が
あります。
個人的な借金のやりとりは会社が介入すべきではありません。
しかし、介入せざるを得ないこともあります。
事例として記事を書きましたが、自殺まではいかなくても
似たような経験を数回しています。
原因は、ギャンブル、異性の交際、見栄っ張りが多かったですね。

2017年
3月30日

 【残業代】歩合給を払えば残業代は不要か?

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 【残業代】歩合給を払えば残業代は不要か?
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中川:こんにちは。
社長:こんにちは。
   頑張れば報われる歩合給を導入したいと思っています。
   そこで質問ですが、歩合給を払えば残業代は払わなくても
   いいのですか?
中川:社長はどう思いますか?
社長:残業をするかどうかは本人次第だと思います。
   残業をして営業をすればその分歩合給が増えますから。
   だから歩合給に残業代が含まれているので残業代は
   払わなくても良いと思います。
中川:ブーです。
   歩合給も一種の手当です。
   たとえば役職手当や資格手当などと同じように。
社長:手当といえば手当ですが、役職手当や資格手当は
   頑張っても金額に変化はありません。
   歩合給は月々変化します。
   歩合給は性格が違うと思いますが。
中川:精勤手当を支給されていますね?
社長:はい。
中川:精勤手当は遅刻をしたり欠勤すると減額になったり
   場合によってはゼロになりますね?
社長:あれ!
   たしかに。
中川:精勤手当は残業手当の割増賃金に算入していますよね?
   減ったら減った金額で残業手当を計算するでしょう?
社長:たしかに。
中川:気がついたでしょう?
   歩合給も増えたり減ったりします。
   だから歩合給も精勤手当と一緒で残業手当の
   対象となります。
社長:では、会社は損をしますね。
中川:単純に損をするとは限りません。
   歩合給があることによって頑張ってくれれば
   業績が向上することもあるでしょう?
社長:ふーん。
   歩合給の設定が難しいですね。
中川:そこが経営者の腕の見せどころです。
社長:ところで残業代はどのような計算をするのですか?
   歩合給が多い社員の残業代がとても高くなるのではと
   心配です。
中川:たしかに。
   しかし、歩合給は特殊な計算をします。
社長:へえ、難しいのですね。
中川:たとえば17万円(残業代対象の分、ただし歩合給を除く)の
   給料だったとします。
   社長の会社の1ヶ月の所定労働時間は170時間です。
   したがって、
   この人の時間単価は1000円(17万円÷170時間)となります。
   この人の残業単価はいくらですか?
社長:えーと、残業代は1.25倍ですから1250円(1000円×1.25)ですね。
中川:たとえば30時間の残業をしたとしたら残業代はいくらですか?
社長:えーと、1250円×30時間=37,500円ですね。
中川:そうですね。
   以上が普通の残業計算です。
   それに歩合給の残業計算をします。
社長:はあ?
   さっき、残業代を計算したではないですか?
   なんで、歩合給をまた計算するのですか?
中川:17万円には歩合給は入っていません。
   歩合給も割増賃金の対象になります。
社長:なんだかいやになりましたね。
中川:まあ、そういわずに。
   で、歩合給が3万円だったとしますね。
   その場合の割増賃金は
   3万円÷200時間(170時間+30時間)×30時間×0.25
   =1,125円です。
   ということで今月の残業手当は
   37,500円+1,125円=38,625円となります。
社長:あのう、その計算は間違っていますよ。
中川:どこがですか?
社長:割増賃金は0.25ではなく1.25でしょう?
中川:普通の割増賃金はその計算をしますが
   歩合給の場合は0.25でいいのです。
   それと、その月の全労働時間(所定内時間+残業時間)で
   1時間当たり単価を計算します。
社長:なぜですか?
中川:30時間分残業をしたとしたら
   その部分は労働の成果として支払われるので
   すでに支払い済みと考えられるところから
   0.25でいいのです。
社長:ふーん、なんだか得をしたような。
   でも、残業手当の他に払わなければならないので
   あれば損をしているような...。
中川:そうですね。
   要するに歩合給を支給したとしても
   残業の支払はしなければなりません。
   それを承知の上でどうするか経営判断をする
   ことになります。
社長:なるほど。
   研究してみます。

(中川コメント)
歩合給に対する割増賃金は休日出勤の日は0.35倍となります。
2017年
3月29日
カテゴリー

 【試用期間】解雇

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 【試用期間】解雇
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中川:こんにちは。

社長:こんにちは。
   Aさんについて相談です。

中川:はい、なんでしょうか?

社長:Aさんを総務として採用しました。
   パートとして一ヶ月間の雇用契約を締結しました。
   一ヶ月の試用期間が過ぎたらその後は無期契約をする可能性が
   あるとも言いました。

中川:そうですか。

社長:Aさんは他社でも総務の経験があり、経理や総務もこなします。
   とても良い人が採用できたと喜んでいました。

中川:喜んでいましたとは過去形ですね。
   今は喜んでいないのですか?

社長:そうです。
   解雇したいのです。

中川:どうしてですか?

社長:先日、全体会議をしました。
   その時にAさんも出席しました。
   会議の途中で、Aさんが「この会社の決算書は間違っている」と
   言い出したのです。

中川:間違っていたのですか?

社長:決算書は税理士事務所に依頼しています。
   間違っていると指摘されても、その判断はできません。

中川:税理士事務所の処理の間違いを指摘するのは、有能は証拠では
   ないのですか?
   どうして解雇したいのですか?

社長:だって、決算書ですよ。
   それが間違っていたということは重大なことです。
   そのような重大なことを全体会議で発言するのです。
   そんな人は今後が心配です。

中川:たしかに、いきなり大勢の前で発言することではないですね。

社長:そうです。
   それで、その場で、そのような重大なことは担当者と十分に
   検討してから言うべきだ、このような場でいきなり発言するのは
   不適切だと言いました。

中川:当然ですね。

社長:ところが、「間違っていることを指摘することは悪いことではない。
   それを隠そうとするほうが問題だ」と言うのです。
   私は、「隠そうとしているのではない。事実を確認して、間違って
   いれば正すものは正す。」と言いました。
   しかし、Aさんは「私が正しい」と主張するばかりです。

中川:困った人ですね。

社長:そのなことで、試用期間中でありますし、一ヶ月の契約期間満了で
   解雇したいと思っています。
   これは違法ですか?

中川:試用期間中の解雇は正社員より緩やかです。
   今回の場合は、仕事をさせることで知り得たAさんの仕事に対する
   困った態度です。
   採用面接では知り得ないことです。
   社長が心配されているように、今後も同様なことが起きる可能性が
   ありますね。
   解雇しても良いでしょう。

社長:分かりました。


(中川コメント)

本日の記事は、空調服事件(平成28年8月3日 東京高裁)を
参考にしました。

試用期間中でも合理的な理由がなければ解雇はできません。
今回の場合は、採用後、仕事をとおして知り得た会社としては
困った勤務態度であり、選考段階では知り得ない情報です。
そのようなことから、解雇は有効という判決がでました。

この事件は一審は解雇無効、二審は解雇有効と判決が分かれました。

試用期間中だからといって安易には解雇できません。
ご注意ください。

2017年
3月28日

 【解雇】なぜ解雇が難しいのか

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 【解雇】なぜ解雇が難しいのか
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中川:こんにちは。
社長:こんにちは。
   先日、ひょんなことから労働基準法を見ました。
中川:勉強されていますね。
社長:次の条文がありますね。
(解雇の予告)
第二十条  使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、
少くとも三十日前にその予告をしなければならない。
三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わな
ければならない。
但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能と
なつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合におい
ては、この限りでない。
   解雇する場合は30日前に予告すれば良いと書いてあります。
   しかし、中川さんは解雇はできるだけしないようにと
   言っていますね。
   でも、法律では解雇は難しいからしないようにとは
   書いてありませんよ。
中川:確かに、労働基準法ではそのように書いてあります。
   30日分の賃金を払えば即座に解雇できるとあります。
社長:でしょう?
   どうして解雇は難しいのですか?
中川:裁判の結果です。
   経営の合理化や整理など会社の都合で過去する場合は
   働く人に責任がないので、解雇権を乱用していはいけないと
   いう判例が多くあり、それが定まったのです。
社長:どういうことですか?
中川:解雇するには次の条件に当てはまっているかが問われます。
   1.客観的に人員整理を行う業務上の必要性があるか
   2.他に整理解雇を回避する可能性はないか。
     また使用者による整理解雇回避の努力がなされたか
   3.整理解雇基準に合理性があるか。
     またその基準の適用に妥当性があるか
   4.解雇手続きに関して、労働組合等と誠意をもって協議
     したか。
     また労働者に誠意をもって十分に説明したか。
   これを整理解雇の4要件といいます。
社長:ふーん。
   ややこしいのですね。
   でも、、これは経営の合理化や整理のための解雇ですよね。
   そうではなく、協調性がない社員とか、仕事ができない社員が
   いるのです。
   そのような社員を解雇する場合は、整理解雇の4要件は関係ない
   でしょう?
中川:そうですね。
   しかし、整理解雇の4要件をベースに労働者保護の観点から、
   普通解雇(能力がないなど)であっても、
    1.客観的・合理的な理由がある
    2.社会通念上相当である
   の要件を満たさなければ、解雇はできないという判例が確立しました。
   これに基づき、労働契約法(労働基準法ではありません)でも
   明記されました。
   
社長:うーん。
   客観的・合理的な理由とは何ですか?
中川:たとえば、能力がないので解雇したいとします。
   能力がないことを証明できることが前提です。
   しかも、能力がないとしても、会社がどの程度、指導教育をしたかが
   問われます。
   それでも、期待した能力を発揮できない場合です。
   それを会社が証明しなければなりません。
社長:そこまで言われるのですか。
中川:そうです。
   だから、解雇は難しいのです。
社長:お金を払えば良いということではないのですね。
   分かりました。

(中川コメント)
労働基準法では30日分の解雇予告手当を払えば、即時解雇できると
書いてあるのに、裁判所が解雇を容易に認めない理由があります。
それは、昭和30年から40年にかけて確立した
1.終身雇用制
2.年功序列制
にあります。
これらは長期雇用を前提としています。
社員教育や人事異動を通じて、社内キャリアを身につけさせ、
それに応じた仕事を与え、賃金を払う仕組みです。
このような前提があるので、特別な事情がない限り、解雇はできないと
いう法理ができあがったのです。
うちは中小企業だから、
1.終身雇用制
2.年功序列制
は関係ないと言いたいと思いますが、現在はあきらめてください。
働き方が変わって、外国のように
1.終身雇用制
2.年功序列制
がなくなれば裁判所は考えを変えてくるかもしれませんが、
当分は考えられません。
安易に解雇しないことです。
安易な解雇をすると訴訟で負けます。
2017年
3月27日

 【通災】新春囲碁大会の後帰宅する途中の事故

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 【通災】新春囲碁大会の後帰宅する途中の事故
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中川:こんにちは。
社長:こんにちは。
   新春囲碁大会について相談です。
中川:へえ、いまどき囲碁大会とは珍しいですね。
   何人くらいいるのですか?
社長:10人前後です。
   ほとんどの社員は囲碁をしませんが。
中川:新年の囲碁大会が恒例なのですね?
社長:そうそう、私はこれが楽しみでね。
中川:そうですか。
   大いに楽しんでください。
   ところで相談とはなんですか?
社長:囲碁大会は社内で行っています。
   それでもし、囲碁大会の後、帰宅するときに交通事故に遭ったら
   通勤災害になるのか念のために質問します。
中川:囲碁大会は何時間くらいですか?
  
社長:4時間くらいです。
中川:へえ、4時間も。
   熱心ですね。
社長:優勝がかかっていますから。
   碁をやると親の死に目に会えないとまでいわれる
   ゲームです。
   4時間でも物足りないくらいです。
中川:そんなに長時間囲碁をしていた場合は通災になりません。
社長:でも、一応社内の恒例行事ですが。
中川:恒例行事かもしれませんが、それは仕事ではありませんよね?
社長:囲碁が仕事だったら幸せなのですが...。
   囲碁は仕事ではありません。
   当たり前のことです。
中川:社内行事をしても短時間であれば通災と認められます。
   しかし、4時間も囲碁をしていたらそれは認められません。
社長:へえ、時間の長さで通災かどうかが判断されるのですか。
   どのくらいであれば通災と認められるのですか?
中川:1時間25分の場合は通災となり2時間50分はダメだと
   された事例があります。
社長:1時間25分から2時間50分の間の行事はどうなるのですか?
中川:わかりません。
   労基署が判断します。
社長:囲碁大会の場合は半日くらいは優にかかります。
   結論は通災にならないということですね。
中川:そうです。

(中川コメント)
労働基準監督署の上位組織として各県に労働局があります。
その労働局が法令の解釈に疑義が生じた場合は本省の局長に問い合わせを
します。
それによる回答が「基収」として公開されています。
それによると、
1.事業場内で労働組合の用務を約1時間25分行った後の災害は通災
  (昭和49年3月4日 基収317)
2.事業場内でサークル活動に2時間50分従事した後の災害は通災否認
  (昭和49年9月26日 基収2023)
となっています。
通災は監督署で判断しますので、とりあえず相談するといいでしょう。